はぁーっと彼が、陰鬱なため息をつく。
どうも愚痴らずにいられないのが柴倉さんなのらしい。

除染の必要はないので、すでに撤退の準備が始まっていた。
私も着替えなどせず、伶龍とともに帰りの車に乗る。

「柴倉さん、なんだって?」

「あー、いつもどおりだよ」

苦笑いで先に乗っていた伶龍の隣に収まり、シートベルトを締めた。

「あのおっさんは愚痴が仕事みたいなもんだからな」

伶龍はおかしそうに笑っている。

「そうだね」

私もそれには大いに同意だった。

流れる窓の外、街路樹は赤や黄色に染まっている。
街ではそこかしこに、ハロウィンの装いがなされていた。

「なー、ハロウィンってカボチャの穢れが出るんだろ?」

「……は?」

つい、まじまじと伶龍の顔を見ていた。
てか、その知識はどこから得た?

「C級でもデカいから、食べがいあるよなー。
なに作ってもらおうか。
煮物だろ、パイだろ、あとは……ああ。
でもそんなにカボチャばっかりだと、飽きるよな」

冗談だと思いたいが、伶龍はいたって本気だ。
これはどこから訂正したらいい?