病気はいいほう、最悪死に至る。
私は伶龍と契約したときに彼の加護がつき、浴びても平気な身体になっていた。
柴倉さんをはじめ現場指揮をしている上のほうの役人は定期的に祈祷を受けているので、少しくらい大丈夫だったりする。
とはいえ一般人は完全アウトなので、あれが出たときは避難命令が出る。

そう。
今、この地域の人間は避難しているのだ。
私たちが手順どおりに上手くあれを倒せていれば後始末もあっという間に終わり、人々はすぐに帰宅できる。
しかし今回のように倒せはしたがやり方を失敗すると除染が必要になり、場合によっては何日も避難所暮らしになってしまう。

「……ううっ。
また荒れるな……」

マスメディアは私を、史上最低の巫女と評していた。
この有様では言われるとおりなので、まったく反論できない。

「なんでこんな家に生まれちゃったんだろう……」

私の家、神祇(じんぎ)家は役職として定まった平安時代よりも以前から、この国に降りかかる〝穢れ〟を祓う仕事をしている。
穢れとは人々の負の感情が集まり、形になったものだ。