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夕方になり、ゆっくり回っていた動物園もほとんど見終えた。
人の少なくなった園内を見て、少し肌寒さを感じ息を吐く。
騒がしい場所であまり相手の顔色を気にせずに楽しめたことに気持ちが浮く。
誰かとこんなに話したのは久しぶりだと口元を隠し、頬を染めた。
「……鈴木くん?」
ふと、彼が一点を見つめていることに気づく。
子ども向けの触れ合うことが出来るキッズ動物園。
昼間は混雑しており入ることの出来なかった場所を彼は物寂し気に見つめていた。
そういえば彼はまゆタレうさぎが好きだった。
ということはうさぎが好きなのかもしれない。
「入ってみる?」
「……うん!」
星のようにキラキラ。
赤茶色の瞳の中は金銀とたくさんの輝きに満ちている。
太陽のように眩しいときもあれば、繊細な輝きを見せることもある。
不思議な人だとつい見入ってしまった。
うさぎとのふれあい広場に入ると、足元にうさぎが寄ってくる。
嬉しくなって私はしゃがみこみ、うさぎを手招きして反応を眺めた。
人懐っこい子が指先の匂いをかぎ、じっと見つめてくるので嬉しくなって彼を見る。
……彼のまわりにうさぎはいなかった。
オロオロするばかりの彼はやがて落ち込み、離れていくうさぎの背を見るばかり。
「鈴木くん、この子人懐っこいよ」
人懐っこい子ならば彼も触れるかもしれない。
そう思い、上目遣いに彼を呼ぶと彼は目をうるうるさせ駆け寄ってくる。
「武藤さん!」
「わっ!?」
うさぎが逃げていく。
急に抱きしめられ、私は体勢を崩して彼に寄りかかってしまう。
「ムリッ! 我慢できないっ!」
「す、鈴木くん?」
混乱してあたふたしていると、更に状況がつかめなくなる事態が起きた。
「いっ!? 痛いっ! 痛いって!」
それは圧迫され、潰れてしまいそうな加減のない抱擁だった。
内臓までうっとくるほどにギュッとされ、私は反射的に彼の背中を叩く。
「ご、ごめん。かわいすぎて……」
必死の抵抗に我に返った彼が腕から力を抜き、顔をのぞきこんでくる。
至近距離に恥ずかしくなり、目を反らしてか細い声を出す。
夕方になり、ゆっくり回っていた動物園もほとんど見終えた。
人の少なくなった園内を見て、少し肌寒さを感じ息を吐く。
騒がしい場所であまり相手の顔色を気にせずに楽しめたことに気持ちが浮く。
誰かとこんなに話したのは久しぶりだと口元を隠し、頬を染めた。
「……鈴木くん?」
ふと、彼が一点を見つめていることに気づく。
子ども向けの触れ合うことが出来るキッズ動物園。
昼間は混雑しており入ることの出来なかった場所を彼は物寂し気に見つめていた。
そういえば彼はまゆタレうさぎが好きだった。
ということはうさぎが好きなのかもしれない。
「入ってみる?」
「……うん!」
星のようにキラキラ。
赤茶色の瞳の中は金銀とたくさんの輝きに満ちている。
太陽のように眩しいときもあれば、繊細な輝きを見せることもある。
不思議な人だとつい見入ってしまった。
うさぎとのふれあい広場に入ると、足元にうさぎが寄ってくる。
嬉しくなって私はしゃがみこみ、うさぎを手招きして反応を眺めた。
人懐っこい子が指先の匂いをかぎ、じっと見つめてくるので嬉しくなって彼を見る。
……彼のまわりにうさぎはいなかった。
オロオロするばかりの彼はやがて落ち込み、離れていくうさぎの背を見るばかり。
「鈴木くん、この子人懐っこいよ」
人懐っこい子ならば彼も触れるかもしれない。
そう思い、上目遣いに彼を呼ぶと彼は目をうるうるさせ駆け寄ってくる。
「武藤さん!」
「わっ!?」
うさぎが逃げていく。
急に抱きしめられ、私は体勢を崩して彼に寄りかかってしまう。
「ムリッ! 我慢できないっ!」
「す、鈴木くん?」
混乱してあたふたしていると、更に状況がつかめなくなる事態が起きた。
「いっ!? 痛いっ! 痛いって!」
それは圧迫され、潰れてしまいそうな加減のない抱擁だった。
内臓までうっとくるほどにギュッとされ、私は反射的に彼の背中を叩く。
「ご、ごめん。かわいすぎて……」
必死の抵抗に我に返った彼が腕から力を抜き、顔をのぞきこんでくる。
至近距離に恥ずかしくなり、目を反らしてか細い声を出す。