「武藤さんが一番かわいいし、好きだから」
褒められるどころか、人の目に触れることに慣れていない私には直球すぎるもの。
一撃必殺と空高く飛ばされる勢いで彼の愛情が襲ってきた。
小さくなってびくびく震えるしかない私に彼はピカピカしている。
「うわ、ガチじゃん」
「あ、あの……大げさ……」
「大げさじゃないよ。武藤さんはかわいいよ」
浄化されて消し飛びそうだ。
何故そうも躊躇いなく好意を表に出せるのか。
今まで関わったことがないというのに、その全力な愛情はどこから湧いたのだろう。
砂糖菓子のような彼の甘さは私だけでなく、絵里にも伝わるくらい威力があった。
「絵里ちゃーん! 橋場先生が呼んでるー!」
「今いくー!」
渡り廊下から同じ特進クラスの女子に呼ばれ、絵里が振り返る。
ふぅと一息をつくと、やや顔をしかめてこちらを見た。
「ま……まあ、おめでとう。お邪魔なようだから行くわ……」
「というわけで認識よろしく」
「はいはい、じゃーね」
(ああああ! 外堀が埋められていくぅ……)
どうせすぐに嫌われる。
押しに押されてお付き合いをしているが、彼の愛情はなくなるどころか肥大していく。
逃げても逃げても四方八方塞がれたようなもの。
理由を聞いたところで甘く口説かれてしまうとわかっていたので口を閉ざしていた。
「そうだ、うちのさぎうさなんだけど」
絵里が去ってすぐ彼は次の話題へと切り替える。
”さぎうさ”と聞き覚えのある存在に私は表情を明るくして彼を見た。
「さぎうさちゃん。あの子かわいいよね。元気?」
さぎうさはキリッとした濃い顔をしていながら、中身は人懐っこくかわいらしい。
動物好きな私にとって犬は非常に和む存在だった。
ところがそれが彼にはありえない回答だったらしく、ぎょっとして私の腕を掴んできた。
短い悲鳴が私の口から洩れる。
「かわいい!? 全然かわいくないよっ! 武藤さんと比べ物にならないくらいかわいくない!!」
(あれ、鈴木くんちの子だよね? かわいくないの?)
「クシャッとしててかわいいと思うけど……」
褒められるどころか、人の目に触れることに慣れていない私には直球すぎるもの。
一撃必殺と空高く飛ばされる勢いで彼の愛情が襲ってきた。
小さくなってびくびく震えるしかない私に彼はピカピカしている。
「うわ、ガチじゃん」
「あ、あの……大げさ……」
「大げさじゃないよ。武藤さんはかわいいよ」
浄化されて消し飛びそうだ。
何故そうも躊躇いなく好意を表に出せるのか。
今まで関わったことがないというのに、その全力な愛情はどこから湧いたのだろう。
砂糖菓子のような彼の甘さは私だけでなく、絵里にも伝わるくらい威力があった。
「絵里ちゃーん! 橋場先生が呼んでるー!」
「今いくー!」
渡り廊下から同じ特進クラスの女子に呼ばれ、絵里が振り返る。
ふぅと一息をつくと、やや顔をしかめてこちらを見た。
「ま……まあ、おめでとう。お邪魔なようだから行くわ……」
「というわけで認識よろしく」
「はいはい、じゃーね」
(ああああ! 外堀が埋められていくぅ……)
どうせすぐに嫌われる。
押しに押されてお付き合いをしているが、彼の愛情はなくなるどころか肥大していく。
逃げても逃げても四方八方塞がれたようなもの。
理由を聞いたところで甘く口説かれてしまうとわかっていたので口を閉ざしていた。
「そうだ、うちのさぎうさなんだけど」
絵里が去ってすぐ彼は次の話題へと切り替える。
”さぎうさ”と聞き覚えのある存在に私は表情を明るくして彼を見た。
「さぎうさちゃん。あの子かわいいよね。元気?」
さぎうさはキリッとした濃い顔をしていながら、中身は人懐っこくかわいらしい。
動物好きな私にとって犬は非常に和む存在だった。
ところがそれが彼にはありえない回答だったらしく、ぎょっとして私の腕を掴んできた。
短い悲鳴が私の口から洩れる。
「かわいい!? 全然かわいくないよっ! 武藤さんと比べ物にならないくらいかわいくない!!」
(あれ、鈴木くんちの子だよね? かわいくないの?)
「クシャッとしててかわいいと思うけど……」