小学校六年生になったばかりの頃。

 私。ここで言う海猫-かいね-はクラスに上手く馴染めず、陰キャ代表を貫いていた。

 一番仲の良い親友は隣のクラス。

 他の友達はクラスにいたけど、グループ制度が強かったので前より話しづらくなってしまった。

 グループ制を悪く思うわけじゃないけど、それぞれが対立しているのを見ているのは心地いいものではなくて。今更「入れて」というのも気が引けたので、私は一人でいることを選んだ。

 休み時間は分厚い本を読んで話しかけるなオーラ全開。そもそも自分から話しかけるのは得意ではないので、話しかけられたとき軽く答えるのみ。廊下から教室に入った瞬間パッと無表情に切り替えるような、そんな生活を続けていた。

「海猫ちゃん、いつも本読んでるよね。誰かと話さないのー?」

 一ヶ月以上経ったある日、明るくて人気者で。そんな女の子に言われたこと。捉えればそのままの意味で、それしかない言葉。なのに少しだけ寂しくなってしまった。「つまらないよね」って遠回しにそう言われている気がしたから。

 話したいんじゃなくて、話せない。

 このグループだらけの空間が息苦しい。お互いにお互いのグループの悪口ばかり。思春期ならではのもので仕方ないものだったのかもしれないけど、嫌で嫌でどうしようもなかった。

 ……でもそんなのは言い訳で、勝手に上から見ていただけ。今思えばただ羨ましかっただけなんだと思う。グループで楽しそうに毎時間過ごしているのが羨ましかった。

 本当は混ざって、親友と帰るまでの時間も楽しく過ごしたかっただけなのだ。それからクラスにいるときだけは自分を何度も悔やみながら、悲しさを幾度となく感じるようになった。

「海猫さんって、クラスに馴染むの時間かかる方?」

「えっと……はい」

「大丈夫? 悩みとかない?」

「何もないです。大丈夫ですよ」

 担任の先生との二者面談のような時間。優しい先生には筒抜けだったらしい。私がいつも一人でいること。実は寂しいこと。

 気づいてくれてたんだ……って、心の中で感謝すると同時に、やっぱり私は一人なんだって思ってしまった。先生から見ても一人だったんだなって。

 やっぱり寂しいな。

 一人でいることにここまで寂しさを感じるのは初めてだった。馴染めていないことを悲しむのも、私が弱いからかなって何度も思った。自分から話しかければいい癖に、話しかけられるのを待って。誰も来なくて落ち込んで。

 本当に面倒くさくてどうしようもなくて弱い私。