お手製の輪っかに首を通し、目を閉じて考えてみる。

 自分はこの世界に生まれた時、どんな気持ちだっただろう。

 きっと、ただ、息が吸いたかっただけ。

 だけどもう、生きづらい。息がしづらい。

 苦しい。怖い。生きるのが怖い。明日が当たり前のように訪れるのが怖い。

 目を閉じて、眠って、次の日の朝、光を見るのが怖い。

 永遠に、暗闇の中にいたい。

 自分の叫びを聞いてくれる人なんていなくて、それが悲しくて、また喚いて。

 その繰り返し。もういいよ。もう、終わらせてもいいよ。だけど。

「うっ、んうっ、ううう……うぅ……ぁ」

 死ぬのなんて簡単だ。だけど、怖くて怖くてしょうがない。

 死にたくても、死ねない。だって怖い。怯えてる自分が情けなくて泣けてくる。

 何で生きてる? 自分は、何で生きてる?

「だって、……息がしたい……っっ、」

 嗚咽は止まらず、自分の手から縄を放り投げ、その場にうずくまって細く息を吸い込んだ。