もっふ

もっふ

ちびっ子たちは可愛くもっふもっふ体操をしている。
もふもふを揺らしながらつま先立ちになり、ぺたんとかかとをつけ、つま先立ちになり……を繰り返しながら『もっふもっふ』言っている。

――――何このちびっ子の謎の遊び!かわいい……!
因みにオーストラリアガマグチヨタカの三つ子ちゃんずの脚は、鳥の脚である。普段はもふもふボディに埋もれているが、つま先立ちになるとちょっとだけ見える。
コウモリ獣人のシェラちゃんも普段はもっふもっふに埋まる脚を見え隠れさせている。コウモリの脚って……5本指なんだ。

いや、問題……と言うか驚くべきことは、だ。

「コウモリって……鳥に分類されるんですか?」
「……嘴はないですよねぇ。耳もありますし」
ものすっごい不透明……っ!

「も……猛禽……」
オーストラリアガマグチヨタカのちびたちがいる時点で破綻してるよ猛禽組……!

「猛もふ類ってことでどうです?」
「……あ、それなら」
納得……でき、なくもないかな……?

『もっふーっ』
やっぱかわいいし。

「じゃー、ヨモギ先生はあっちで水鳥っ子たちみてますねー」
「……はい!」
ちびたちと遊ぶのは楽しい。常にもふもふだし、『せんせぇみてーっ』と言いつつもふもふボディをすりすりしてくれるところとか、癒されまくりだ。

しかし問題は思わぬところで判明してしまった。

「せんせぇ、よんで」
コンドル獣人のイオくんが持ち寄ってきた絵本に、びくんとくる。
表紙を見ても……やっぱり。

「ごめんね、イオくん。先生、読めないんだ」
「なぬっ」

「おや、そうだったんですか?」
他の鳥っ子たちと遊んでいたヨモギ先生がこちらに気付いてくれる。

「……は、はい。地球の文字とは違って……」
読めないな。

「うーん、ギルドを通して辞書や何かを注文しておきましょうか」
「うー……すみません」
「いえいえ」
ヨモギ先生はそう言ってくれるが……。

やっぱりイオくんを悲しませてしまうのは……。

「しぇらがよんであげる!」
「シェラちゃん、もう文字が読めるの?」
異世界では幼児でも読めるとか!?

「ぱぱ、絵本読むときいつもおはなし違うの!任せて!」
うおぉ……シェラちゃんぱぱ!?いっつもお話違うって……読んでるのか?それ、絵本本当に読んでるのか!?

しかし、試しに表紙をめくってみると、シェラちゃんが早速教えてくれた。

「えっとね、これはね、シェラのぱぱ」
そう言う設定なのか。

「はにゃのぱぱ!」
え、はにゃちゃんも!?

「でもはね生えてないよ」
「んま……っ!」
本当だ……。絵本の中の人物には角が……シェラちゃんのぱぱ、角生えてるの……?コウモリでは……いや、片親がコウモリ獣人で、もう片親が角が生えてる……のかな。うん……角……。角……?

「えーとね、ぱぱは、だんじょんに行きました!」
まぁ、この子たちの親御さんのどちらか……あるいは両方はギルド所属の冒険者や職員だろうし……ダンジョンに行くこともあるんだろうな。
俺はスキルはあっても成長する見込みがないって捨てられたから……ダンジョンよりここでもふもふちびっ子たちに囲まれていたいわけだが。

「だんじょんに向かうたびのとちうで、であったおおかみと、おっきなほねと、木と、ぞんびをけらいにしました!」
いや……普通に魔物討伐しているように見えるんだが。

「そして、だんじょんにつきました!」
……魔王城っぽい城なんだが……この世界のダンジョンってこうなのか?

「そこで、しぇらをみつけて、しあわせになりました!」
お姫さまを見つけて目覚めさせたように見えるけど……でもうん、かわいいちびっ子たちも、お姫さま!そう捉えることは自然である!

「こえして、せかいはへいわになりました!めでたし、めでたし!」
世界の平和、今初めて出てきたが、平和、関わっていたんだろうか。家来と後半まったく出てこなかったけども!

「しぇらちゃんしゅごい!もふもふっ」
「もじよめる!」
正確には絵を見ていたのだが……ぱぱに聞いた話も含まれていたのだろうか。

「ありがとね、シェラちゃん」
シェラちゃんのお陰で助かったな。
なでなでしてあげれば。

「きゅうん」
わぁーんっ、襟もふでめっちゃすりすりしてくれたぁ~~っ!萌え――――っ!

※※※

「ではツグツグ先生、次はお昼なので、ちびちゃんたちに前掛け、かけてあげてくださいね」
「はい、ヨモギ先生」
やっぱ。胸元のもふもふを汚さないためだろうか。
でも前掛けかけたちびちゃんたちもかわいいだろうなぁ……と、思った瞬間だった。

「にーげろぉーっ」
「カケケケケケッ」
「ホーホーッ!!」
オーストラリアガマグチヨタカ三つ子たちを始めとして、シェラちゃんとイオくんまで走り回り始めたぁーっ!?

「そんなに嫌なんですか!?前掛け」
「いえ……そんなことはないかと……多分ただのブームです」
何その謎ブーム……っ!!!

あれ、でも待てよ……?
フクロウ獣人の三つ子ちゃんたちだけは、大人しく待ってる!

「じゃぁ……まずはホロくんたちから」
前掛けを掛け始めたところ。

もふっ

太ももにもふもふ突っ込んで来た!

もふっ

もいっちょっ!

もふっもふっもふっ

うおぉぉい、走り回ってた全員来たぁ~~つ!

「でもツグツグ先生にはつけてもらいたいんですかね?」
ヨモギ先生がペンギン獣人のちびちゃんに前掛けをつけながら微笑んだ。

やっぱり羨ましくなっちゃったんだろうか。順番に前掛けを掛けてあげれば……。

「じとーっ、きゅん、きゅんっ」
あぁーっ、まっすぐまんまるお目目で見上げてくれるのかわいすぎる……っ!