「現在シェラちゃんぱぱ……S級冒険者クリシュナが受けているクエストは王国からの特命指名クエストです」
「それって……どんな!?」
クリシュナさんがS級ってのも……さっきちらりと聞いたけれど、王国からのクエストって一体……。
「不明です」
「はい?」
「依頼内容は一切漏らせないクエスト、クリシュナは自らその依頼内容を聞き、同意しクエストに向かいました」
「そんなことあり得るんですか……?ギルマスでも不明って……」
「まぁ、ぼくもねぇ。クリシュナには断るなら冒険者ギルド総出でノーを突きつけるって言ったんだけども……それでとクリシュナが行くと言ったら止められないし、それから、そうせざるを得ない事情があったんだろう。だけど、ぼくだってただじゃぁクリシュナを行かせたままにできないし、探りはいれている。さらにはS級が二晩も帰って来られないだなんて相当なことだろうね。あのコ一応娘溺愛型だから、意地でも一晩で片付けてきそうなんだけど」
意地でも片付けるんですか!?でも……シェラちゃんもかわいいからな。シェラちゃんのためならと言われれば分からなくもない。
「クリシュナがこうも帰れないのならば、俺も加勢はするし、代わることもできると言ったのだが……」
「センさんが!?でもS級への指名依頼ですよ?」
「いやー、ツグツグくん、センくんもS級だよ」
ギルマスの言葉に思わず固まる。
「え――――っ」
「ふたりは我がギルドの二大最上級冒険者だからねっ」
「そうだな……俺のところは嫁さんがいるからいいが……シェラのところはクリシュナひとりだろ?だから、長くかかるなら俺が代わるし、加勢もする」
「センさん……」
三つ子ちゃんたちにとってはセンさんも大好きなぱぱだけど……だからこそ、ひとり親のシェラちゃんのことも心配してくれるんだよね。
「けど、却下された」
はい――――っ!?
「そんな……っ、シェラちゃんが寂しい思いしてるのに!」
センさんが加勢してくれれば、クリシュナさんの帰りも早くなるかもしれないのに……何故。
「たまにあることだが……それで依頼もとが王家の誰が関わっているか……分かった。ここまで頑ななら、王家も関わっているのは明白だしな」
「どういうこと?一体誰が……」
「俺を却下するなら、第1王女しかいない」
「第1……王女?」
「私たちが召喚された時に、仕切っていた王族ですよ」
ヒマリちゃんが教えてくれる。あぁ、あの何か偉そうだった獣人の王女か。思えば俺が20代だから成長の見込みがない、捨ててこいと命じたのも彼女だったな……。第1王女だったか。
「でも何でセンさんを却下するんです?」
「鳥獣人が……気に入らないんだと」
「は?こんなにもふもふなのにですか!?」
しかももふもふオーストラリアガマグチヨタカちゃんずのぱぱと言うだけでもポイント高いのにぃっ!!!
「俺も、文句を言われたな。何故近衛騎士団長が鳥獣人なのだと」
「ブレイブさんも!?」
「まぁその発言は陛下に怒られたようだがな」
「……王さま」
……って、どんなひとなんだろうか。
王さまって言うからにはあの王女の……父親なんだよな。
「まぁ、陛下も悪いようにはしないさ」
と、ブレイブさん。それはどういう……。
「で、お前は陛下に怒られないのか?」
「はははははっ。恐らく今頃第1王女が私に追手を差し向けているだろうから、陛下にも一報が届いているやもしれん」
「追手――――っ!?」
そういや……城からヒマリちゃんを連れ出したのだったっけ。