――――そして、何が何なのか分からぬうちに、ギルマスの部屋についてしまった。

「来たぞ、ギルマス」
「待ってたよ~!ツグツグく~ん、センく~ん」
いつものノリのギルマス。そして部屋には他にもふたりいた。
そのひとりは……。

「ブレイブさん?」

「おう」
いや、何故近衛騎士団長のブレイブさんがここに?リーゼさんならまだ分からなくもないんだが……。
しかも部屋には他にも……。

「あれ、君は……召喚された子だよね……?」
髪と瞳の色素は薄いものの、見慣れた東洋風の顔立ちに、整った顔立ちはまるでアイドルにでもなれそうな少女だが。

「あ……!その、あの時いた……お兄さん……?」
彼女も俺のことが分かったらしい。まぁ……俺だけ年上だったもんなぁ……?

「でも何で君が……」
「ヒマリです」

「あ、俺はヒロツグです。ヒマリちゃんが何でここに……?城にいたのでは……」
彼女はまだ若いか育成価値があるとして、城に保護され滞在する権利を得ているはずでは……。

その時、ブレイブさんが口を開く。
「うむ、この私が城からかっさらってきたのだ!」
「何してるんですか、ブレイブさん」
そんなキメ顔で言うことではない。

「その、これは私のお願いでもあったので……」
え、ヒマリちゃんの、お願い?

「とにかく私は城から出たかったんです。それからダンジョンに行きたくて……っ!でも城ではそれを許してくれず、必死で逃げても追いかけられて……困っていたところをブレイブさんに助けていただいて……とっても、もふもふでした……っ」
そりゃぁ羽毛……もふもふそうだもの……!俺はさすがにブレイブさんの羽毛に触れる勇気はないけど……イオくんの羽毛は……もこもこである……っ!

「でも何でそんなにダンジョンに行きたかったの……?」
まだ召喚されたばかりでは……いやでも、レベル上げのためにダンジョンは必須なのかな……?

「それは……」
ヒマリちゃんがくっと奥歯を噛み潰すように言葉を呑み込む。

「いやぁ、それなんだけどねぇ。彼女の話のお陰でいろいろと分かったことがあるんだっ!とにかくみんな、座りなよっ!」
ギルマスの言葉に、そう言えば立ったままだったと、促されたソファーに腰かける。

俺は何故かもふもふ猛禽類のセンさんとブレイブさんに挟まれてるけど!ブレイブさんの隣に座ったヒマリちゃんが、同じくもふもふ猛禽類のセンさんに輝かんばかりの視線向けてるけども……!
場所……逆でもよくなかった……?

しかしまずはギルマスの話である。

「ツグツグ先生も気になっているんじゃないかなーと思っているんですけど。シェラちゃんのぱぱのこと。どうして二晩も留守にしているのかって」

「それは……っ」
この世界の厳しい冒険者事情なのかとも思っていたけれど、そうじゃないのか……?