――――それは、みんなのお迎え時のこと。

「……ツグツグ先生、ちょっと来て」
「へ?」
ラン先生に呼ばれた。

「あ、どうぞ~~。こちらは大丈夫ですから」
と、ヨモギ先生が手を振っている。さらには。
「加勢に来ました~」
ラン先生が呼びに来たからか、他の先生たちが手伝いに来てくれる。

「ふくろうぐみの子の親御さんが来たら呼びますよ」
「では……」
その場を離れようとすれば。

「ツグツグせんせぇー」
「やーっ」
「もふーっ」
あぁ……っ、いっちゃやーするガマグチヨタカちゃんずがかわいすぎる!きりくん、はにゃちゃん、ようくんの順番にもふもふボディをすりすりしてくれる。

名残惜しいんだけど……そう思っていればラン先生もしゃがんで三つ子に目線を合わせる。

「シェラが寂しがっててな」
シェラちゃん……!そっか……今日もお泊まりだから……。

文字を読めるようになって、ヨモギ先生から保育名簿を見せてもらったけど……シェラちゃんって片親だから。親御さんがクエストで一晩留守にすると、自ずとお泊まりになってしまう。
この世界の冒険者事情とは言え……やっぱりあんなに小さいんだもの。二晩も寂しいだろうし、不安だよね。

『シェラちゃんっ!!!』
おともだち思いな3人は、シェラちゃんの名前を聞いてハッとなる。

「シェラちゃん、もふもふ」
「ぎゅーちて」
「なでなで」
もふもふボディを3人ですり合わせながら見つめてくれる三つ子ちゃん。

「うん、シェラちゃんが寂しくないように、先生もふもふぎゅーなでなでしてくるよ」
『おーっ』
翼ぱたぱたしながら声を合わせる三つ子たちがかわいいな。

「ツグツグ先生……勇気ありますね……?シェラちゃんのぱぱ、S級冒険者ですよ?」
「比喩ですよ、ヨモギ先生っ」
さらっとすごいシェラちゃんぱぱの情報が降ってきたのだが。それ一体どういう意味ぃっ!?

そして一時離脱し、ラン先生とお泊まりルームに向かったのだが。

「うーわわわわわ――――――っ!ぱぱぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!」
シェラちゃんが号泣していた。

「シェラちゃんっ!?」
「お泊まりルームだと、たまにある」
うん、そりゃぁ小さいのに親御さんと会えずにお泊まりだもの……。

「しぇんしぇえ……」
俺の姿を見ると、シェラちゃんがうるうるしながら見上げてくる。

「ほら、シェラちゃん。大丈夫、大丈夫。抱っこしてあげるよ」
シェラちゃんを抱き上げて、ぽんぽんしてあげれば、少し落ち着いた……?

「やっぱり……似てるんですかね?」
「あ、分かります。なんとなく」
夜勤の先生たちの声が聞こえてくる。
あれ……?シェラちゃんぱぱって角が生えてるって言う……?俺、角ないんですけど……。

そしてその時だった。

「あ……いたか。ツグツグ先生」
「はぇ?」
呼ばれたかと思い振り返れば。

「えっ、センさん……?」
お泊まりルームに何故。