「あ……」
「星弥!」
震えてへたり込んだ星弥に駆け寄ってその無事を確認した後、鈴心は明るくなった入口を注視する。
星弥を助けた青い鳥は一回りほど小さくなって飛び、入口に立っている人物の肩に乗った。
「に、兄さん……」
「お兄様……」
二人に呼ばれた人物──銀騎皓矢は乾いた靴音を立てながら近づいた。
「怪我はないかい? 星弥」
「あ、うん、大丈夫……」
あっという間に永と蕾生を通り越して、星弥に手を差し伸べて立たせる。
「今のは──?」
一連の不思議な光景に蕾生が呆けている横で、永は皓矢を睨みつけていた。
その様に困ったような笑みを浮かべて皓矢は一礼した。
「こんにちは、周防永くんと唯蕾生くんだね? 星弥と鈴心がお世話になってます、兄の皓矢です」
「ああ……」
何事もなかったように落ち着き払った皓矢の態度に蕾生は面食らった。
「こうも簡単にレオポンが倒されるとは、ね。おかげで第二のセキュリティが発動してしまったようだ。すまなかったね」
「俺達を試したのか?」
蕾生の問いに、皓矢は全てを見透かすような笑みを浮かべている。
「凄いね、予想以上の力だ」
「こ、の──ッ!」
カッとなった蕾生はそのまま皓矢に掴みかかろうとしたが、永がその肩を掴んで制しながら悔しそうに言った。
「──そうか、僕らはまんまと一杯食わされたんだね、銀騎さん?」
その言葉を聞いて蕾生も鈴心も驚いて星弥に視線を投げる。
「え──?」
「星弥?」
注目された星弥は罰が悪そうにしつつも息を整えた後、落ち着いた声に戻って言った。
「ごめんなさい、さすがにバレバレだったかな」
「いや、そんなことはない。君は中立の立場だってわかっていたつもりだったんだけど、油断してたな」
永は頭を掻きながら歯噛みしていた。鈴心も驚きを隠せずにいる。
「星弥はお兄様が来ることを知ってたんですか?」
「うん、ごめんね、すずちゃん。私が兄さんに頼んだの。彼らと話し合って欲しいって」
謝りながらも冷静に説明する星弥に、鈴心はただ驚いていた。
「兄貴が今日留守ってのは嘘だったのか?」
蕾生が尋ねると、それまで落ち着いていた星弥はピクリと肩を震わせて俯きながら謝った。
「──うん、ごめんなさい」
「……」
油断していた、と永が言った言葉が蕾生の頭に響いている。これまで星弥があまりに協力的だったから、当初の彼女のスタンスを忘れていた。
いや、鈴心が戻ってきた時点で星弥も味方になったのだと、錯覚していた。それを今実感して、蕾生は少し哀しかった。
「星弥!」
震えてへたり込んだ星弥に駆け寄ってその無事を確認した後、鈴心は明るくなった入口を注視する。
星弥を助けた青い鳥は一回りほど小さくなって飛び、入口に立っている人物の肩に乗った。
「に、兄さん……」
「お兄様……」
二人に呼ばれた人物──銀騎皓矢は乾いた靴音を立てながら近づいた。
「怪我はないかい? 星弥」
「あ、うん、大丈夫……」
あっという間に永と蕾生を通り越して、星弥に手を差し伸べて立たせる。
「今のは──?」
一連の不思議な光景に蕾生が呆けている横で、永は皓矢を睨みつけていた。
その様に困ったような笑みを浮かべて皓矢は一礼した。
「こんにちは、周防永くんと唯蕾生くんだね? 星弥と鈴心がお世話になってます、兄の皓矢です」
「ああ……」
何事もなかったように落ち着き払った皓矢の態度に蕾生は面食らった。
「こうも簡単にレオポンが倒されるとは、ね。おかげで第二のセキュリティが発動してしまったようだ。すまなかったね」
「俺達を試したのか?」
蕾生の問いに、皓矢は全てを見透かすような笑みを浮かべている。
「凄いね、予想以上の力だ」
「こ、の──ッ!」
カッとなった蕾生はそのまま皓矢に掴みかかろうとしたが、永がその肩を掴んで制しながら悔しそうに言った。
「──そうか、僕らはまんまと一杯食わされたんだね、銀騎さん?」
その言葉を聞いて蕾生も鈴心も驚いて星弥に視線を投げる。
「え──?」
「星弥?」
注目された星弥は罰が悪そうにしつつも息を整えた後、落ち着いた声に戻って言った。
「ごめんなさい、さすがにバレバレだったかな」
「いや、そんなことはない。君は中立の立場だってわかっていたつもりだったんだけど、油断してたな」
永は頭を掻きながら歯噛みしていた。鈴心も驚きを隠せずにいる。
「星弥はお兄様が来ることを知ってたんですか?」
「うん、ごめんね、すずちゃん。私が兄さんに頼んだの。彼らと話し合って欲しいって」
謝りながらも冷静に説明する星弥に、鈴心はただ驚いていた。
「兄貴が今日留守ってのは嘘だったのか?」
蕾生が尋ねると、それまで落ち着いていた星弥はピクリと肩を震わせて俯きながら謝った。
「──うん、ごめんなさい」
「……」
油断していた、と永が言った言葉が蕾生の頭に響いている。これまで星弥があまりに協力的だったから、当初の彼女のスタンスを忘れていた。
いや、鈴心が戻ってきた時点で星弥も味方になったのだと、錯覚していた。それを今実感して、蕾生は少し哀しかった。