小学五年生の頃、原因不明で両親を亡くした。兄弟もいない僕は施設に入所し、毎日がつまらない暮らしをしていた。そして、両親は薬に手を出していたことが後から分かった。それに関与し殺害されたのかなとも思う。
施設に入所し数ヶ月経ったある日。僕は散歩しようと思い施設を出ると、一人の少女が男子に虐められていた。
「お前、父親いないんだろ? 可哀想」
「しかも、母親に虐待されてたんだって?」
「怖すぎるだろ、早く出てけよ」
と、数人の男子達に言われていた。少女は僕と同じく両親がいないらしい。僕はただ見ていることしかできなかった。
「おい、なんか言えよ」
すると、その男子達は少女の頬を思いきり叩いた。僕は頭に火が付き、言い返した。
「何やってんだよ」
少し怖いという気持ちはあったが、僕はその男子達に立ち向かった。
「親がどうこうとかつまらないこと言うのやめろよ。この子は被害者だ。なんでこの子を悪く言うんだよ。辛かったでしょ? 毎日」
その子は呆然とし、コクコクと首を縦に振った。
「僕も両親が居ないから、気持ち分かる。この子を虐めたら、僕が許さないから」
僕がそう言うと、その少女のことを虐めていた男子は慌てて帰っていった。
「大丈夫だった?」
ふう、と息をつき、その少女に問いかけた。
「うん、本当にありがとう。あなた、凄いね」
「別に凄くないよ。事情も知らないのに言い返しちゃってごめん」
そう言うと、その少女は笑みを浮かべた。
「ううん、嬉しかった。……あ、そろそろ行かなきゃ。バイバイ」
名前を聞く前に、その少女が去っていった。次の日も、その次の日も。結局その子に会えないまま僕は高校生になり、一人暮らしを始めた。
施設に入所し数ヶ月経ったある日。僕は散歩しようと思い施設を出ると、一人の少女が男子に虐められていた。
「お前、父親いないんだろ? 可哀想」
「しかも、母親に虐待されてたんだって?」
「怖すぎるだろ、早く出てけよ」
と、数人の男子達に言われていた。少女は僕と同じく両親がいないらしい。僕はただ見ていることしかできなかった。
「おい、なんか言えよ」
すると、その男子達は少女の頬を思いきり叩いた。僕は頭に火が付き、言い返した。
「何やってんだよ」
少し怖いという気持ちはあったが、僕はその男子達に立ち向かった。
「親がどうこうとかつまらないこと言うのやめろよ。この子は被害者だ。なんでこの子を悪く言うんだよ。辛かったでしょ? 毎日」
その子は呆然とし、コクコクと首を縦に振った。
「僕も両親が居ないから、気持ち分かる。この子を虐めたら、僕が許さないから」
僕がそう言うと、その少女のことを虐めていた男子は慌てて帰っていった。
「大丈夫だった?」
ふう、と息をつき、その少女に問いかけた。
「うん、本当にありがとう。あなた、凄いね」
「別に凄くないよ。事情も知らないのに言い返しちゃってごめん」
そう言うと、その少女は笑みを浮かべた。
「ううん、嬉しかった。……あ、そろそろ行かなきゃ。バイバイ」
名前を聞く前に、その少女が去っていった。次の日も、その次の日も。結局その子に会えないまま僕は高校生になり、一人暮らしを始めた。