ショーが終わった私達は色々な所を回った。鮫とかショーに出るイルカより小さいイルカとか、その他色んな魚をみて回った。ラッコも見てきた。タイミングが悪くおねむのの時間だった為、こっちを向いてくれなかった。まあこれは、次回への楽しみにしておこう。
奏お姉ちゃんは、常に明るい顔をしていてとても楽しそうだ。やはり水族館を選んで正解だったようだ。
そういうわけで最後にペンギンが飼育されているペンギンの丘という施設に向かっている。
私はペンギンは好きだが、奏お姉ちゃんもペンギンが超大好きだ。部屋にある人形のレパートリーの中にも確かペンギンがあったはずだ。多分今日もう一体増えるだろうけど。ボールペンか消しゴムも確かペンギン柄のだったはず。
そのくらい奏お姉ちゃんはペンギンが大好きだ。ペンギンを見ている時の奏お姉ちゃんはいつも優しいんだけど、それにも増して優しい気がする。だから私もペンギンが好きだ。
そのペンギンが今日は間近で見られるわけだ。ペンギンもだが、奏お姉ちゃんがどんな反応をするのかが楽しみで仕方がない。
「ペンギンさん元気かなあ?」
「元気だと思うわよ。あと、お昼に近いから、もしかするとご飯をあげるところが見れるかもしれないわ」
「楽しみだなあ」
奏お姉ちゃんからワクワクという文字が浮かび上がってきそうな雰囲気をしている。小学生みたいでかわいいなあ。私はそんなことを考えていた。
ペンギンの丘に辿り着いた。ペンギン達は思い思いのところに散らばっている。水辺で泳いでいる子もいれば、蝶々を追いかけている子、ボケーっとしている子がいたりと、様々な様相を見せている。
ちなみに、ここにいるペンギンはケープペンギンと言う種類らしい。サイズはそこそこと言う感じ。背中は黒だが腹回りは白になっている。それで目の上がピンク色をしているのがなかなかチャーミングだ。
そして他のペンギンの例に漏れず、ヨチヨチ歩きをしている。うん、かわいい。奏お姉ちゃんには負けるけど。奏お姉ちゃんはどんな反応をしているだろう。さっきから少し静かだけどどうしたんだろう。私は左隣をそっと向いてみる。
「かわ……かわ……あぁ……」
どうやら感動のあまり言葉を失っているようだ。こんな奏お姉ちゃんは見たことがない。このまま堪能していたいが、通路の真ん中にいて邪魔になりそうなので移動しよう。
「かわいいよねっ、お姉ちゃん」
「うんっ、うん!」
「けど、ここじゃ邪魔だから、あっちに行こう」
「あっ、そうだね! ごめんなさーい」
奏お姉ちゃんは申し訳なさそうにしていた。私と奏お姉ちゃんは、ペンギンの外側にある木の柵へと移動した。
柵の方に移動すると、丁度飼育員さんがバケツを持って現れる。これは食事の時間だ。ペンギン達も察したようで、飼育員さんの元へと一斉に集まってくる。
「見て見て! ペンギンさんが集まってくるよ!」
奏お姉ちゃんははしゃぎながらペンギンの方を指差している。
「ちょーだいって感じで見てるよっ!」
興奮しながら手を上下に動かしている。ペンギンは飼育員さんが魚を差し出すと、パクッと魚を丸呑みにしていた。
「かわいいねっ。かわいいねっ」
奏お姉ちゃんは興奮しっぱなしだ。私はそんな奏お姉ちゃんの方がかわいくて仕方がない。普段は少し落ち着いた感じもある奏お姉ちゃんが、こんなにテンションをむき出しにするんだ。水族館ってやっぱりいいね。私はそう感じていた。
ペンギン達は飼育員さんが移動するのに合わせて移動する。鰭を目一杯動かしながらヨチヨチと歩きながら必死になってみんなついていく。その様子を奏お姉ちゃんは「かわいいなあ~。かわいいなあ~」と言いながらニッコニコで左右に軽く揺れて見ている。なんと言う眼福な光景だろうか。
好きなものに大好きなものが混ざるとこうも幸せになれるんだ。私はその感覚を噛み締めていた。あぁ、この時が続いたらいいのになあ……。そんなことを思っていると、鼻から何か流れてくる。咄嗟にティッシュを取り出し拭き取ると、なんと鼻血が出ていた。
興奮しているのは奏お姉ちゃんだけじゃなくて、私もだったか。そう思いながら私はティッシュで鼻を押さえていた。奏お姉ちゃんに気づかれないように、静かに。
ペンギンの丘を見終わり、その後お土産コーナーで買い物を済ませ、次の目的地である榛名ヶ丘に向かうため電車に乗っていた。
「今日からよろしくねー」
お土産コーナーで買ったペンギンの少し大きなぬいぐるみに、奏お姉ちゃんは挨拶をしていた。買うとは思っていたが、本当に買ってしまうとは。でも、それが奏お姉ちゃんだからね。かわいいよねえ。私は奏お姉ちゃんを眺めながらそう思っていた。
「お姉ちゃん。家にもペンギンのぬいぐるみあるけど、区別とかつくの?」
「種類が違うから大丈夫! もう一人はコウテイペンギンだから。大きさも違うから見分けは簡単だよぉ」
奏お姉ちゃんは微笑んでいた。奏お姉ちゃんがそう言うなら、大丈夫なんだろう。まあそれに、奏お姉ちゃんだから雑には扱わないだろう。きっと大切に扱ってもらえるだろう。なんなら寝る時に抱きしめてもらうとか、そんなこともしてもらえそうだ。いいなあ。羨ましいなあ。私はぬいぐるみにジェラシーを感じていた。
「美優羽ちゃん? ぬいぐるみさんをじっと見てどうしたの?」
奏お姉ちゃんにそう言われてハッとした。気づかないうちに見つめていたようだ。
「なっ、なんでもないわよっ! べ、別にぬいぐるみが羨ましいとか、そんなこと思ってないからねっ!」
恥ずかしくなりながら、私は照れ隠すように答えた。
「そうなのぉ。でも、ぬいぐるみより美優羽ちゃんの方が私は大事だよ?」
奏お姉ちゃんは優しい。ぬいぐるみより私が大事なんて言ってくれて。私は嬉しい。当たり前のことかも知れないが、それでもいざ言葉にしてもらえると嬉しさが増す。
「そ、そうっ⁈ それはありがたく思っておくわっ!」
こう言う時に優しく私も言えればいいのになあ。今日は素直に言えると思ったのに、実際水族館まではそれなりに出来ていたのに。素直であれば奏お姉ちゃんともっと仲良く、いい関係になれるはずなのに……。そんな自分に自己嫌悪していた。
電車はガタンゴトンと静かに揺れて、次の行き先へと向かって行った。
奏お姉ちゃんは、常に明るい顔をしていてとても楽しそうだ。やはり水族館を選んで正解だったようだ。
そういうわけで最後にペンギンが飼育されているペンギンの丘という施設に向かっている。
私はペンギンは好きだが、奏お姉ちゃんもペンギンが超大好きだ。部屋にある人形のレパートリーの中にも確かペンギンがあったはずだ。多分今日もう一体増えるだろうけど。ボールペンか消しゴムも確かペンギン柄のだったはず。
そのくらい奏お姉ちゃんはペンギンが大好きだ。ペンギンを見ている時の奏お姉ちゃんはいつも優しいんだけど、それにも増して優しい気がする。だから私もペンギンが好きだ。
そのペンギンが今日は間近で見られるわけだ。ペンギンもだが、奏お姉ちゃんがどんな反応をするのかが楽しみで仕方がない。
「ペンギンさん元気かなあ?」
「元気だと思うわよ。あと、お昼に近いから、もしかするとご飯をあげるところが見れるかもしれないわ」
「楽しみだなあ」
奏お姉ちゃんからワクワクという文字が浮かび上がってきそうな雰囲気をしている。小学生みたいでかわいいなあ。私はそんなことを考えていた。
ペンギンの丘に辿り着いた。ペンギン達は思い思いのところに散らばっている。水辺で泳いでいる子もいれば、蝶々を追いかけている子、ボケーっとしている子がいたりと、様々な様相を見せている。
ちなみに、ここにいるペンギンはケープペンギンと言う種類らしい。サイズはそこそこと言う感じ。背中は黒だが腹回りは白になっている。それで目の上がピンク色をしているのがなかなかチャーミングだ。
そして他のペンギンの例に漏れず、ヨチヨチ歩きをしている。うん、かわいい。奏お姉ちゃんには負けるけど。奏お姉ちゃんはどんな反応をしているだろう。さっきから少し静かだけどどうしたんだろう。私は左隣をそっと向いてみる。
「かわ……かわ……あぁ……」
どうやら感動のあまり言葉を失っているようだ。こんな奏お姉ちゃんは見たことがない。このまま堪能していたいが、通路の真ん中にいて邪魔になりそうなので移動しよう。
「かわいいよねっ、お姉ちゃん」
「うんっ、うん!」
「けど、ここじゃ邪魔だから、あっちに行こう」
「あっ、そうだね! ごめんなさーい」
奏お姉ちゃんは申し訳なさそうにしていた。私と奏お姉ちゃんは、ペンギンの外側にある木の柵へと移動した。
柵の方に移動すると、丁度飼育員さんがバケツを持って現れる。これは食事の時間だ。ペンギン達も察したようで、飼育員さんの元へと一斉に集まってくる。
「見て見て! ペンギンさんが集まってくるよ!」
奏お姉ちゃんははしゃぎながらペンギンの方を指差している。
「ちょーだいって感じで見てるよっ!」
興奮しながら手を上下に動かしている。ペンギンは飼育員さんが魚を差し出すと、パクッと魚を丸呑みにしていた。
「かわいいねっ。かわいいねっ」
奏お姉ちゃんは興奮しっぱなしだ。私はそんな奏お姉ちゃんの方がかわいくて仕方がない。普段は少し落ち着いた感じもある奏お姉ちゃんが、こんなにテンションをむき出しにするんだ。水族館ってやっぱりいいね。私はそう感じていた。
ペンギン達は飼育員さんが移動するのに合わせて移動する。鰭を目一杯動かしながらヨチヨチと歩きながら必死になってみんなついていく。その様子を奏お姉ちゃんは「かわいいなあ~。かわいいなあ~」と言いながらニッコニコで左右に軽く揺れて見ている。なんと言う眼福な光景だろうか。
好きなものに大好きなものが混ざるとこうも幸せになれるんだ。私はその感覚を噛み締めていた。あぁ、この時が続いたらいいのになあ……。そんなことを思っていると、鼻から何か流れてくる。咄嗟にティッシュを取り出し拭き取ると、なんと鼻血が出ていた。
興奮しているのは奏お姉ちゃんだけじゃなくて、私もだったか。そう思いながら私はティッシュで鼻を押さえていた。奏お姉ちゃんに気づかれないように、静かに。
ペンギンの丘を見終わり、その後お土産コーナーで買い物を済ませ、次の目的地である榛名ヶ丘に向かうため電車に乗っていた。
「今日からよろしくねー」
お土産コーナーで買ったペンギンの少し大きなぬいぐるみに、奏お姉ちゃんは挨拶をしていた。買うとは思っていたが、本当に買ってしまうとは。でも、それが奏お姉ちゃんだからね。かわいいよねえ。私は奏お姉ちゃんを眺めながらそう思っていた。
「お姉ちゃん。家にもペンギンのぬいぐるみあるけど、区別とかつくの?」
「種類が違うから大丈夫! もう一人はコウテイペンギンだから。大きさも違うから見分けは簡単だよぉ」
奏お姉ちゃんは微笑んでいた。奏お姉ちゃんがそう言うなら、大丈夫なんだろう。まあそれに、奏お姉ちゃんだから雑には扱わないだろう。きっと大切に扱ってもらえるだろう。なんなら寝る時に抱きしめてもらうとか、そんなこともしてもらえそうだ。いいなあ。羨ましいなあ。私はぬいぐるみにジェラシーを感じていた。
「美優羽ちゃん? ぬいぐるみさんをじっと見てどうしたの?」
奏お姉ちゃんにそう言われてハッとした。気づかないうちに見つめていたようだ。
「なっ、なんでもないわよっ! べ、別にぬいぐるみが羨ましいとか、そんなこと思ってないからねっ!」
恥ずかしくなりながら、私は照れ隠すように答えた。
「そうなのぉ。でも、ぬいぐるみより美優羽ちゃんの方が私は大事だよ?」
奏お姉ちゃんは優しい。ぬいぐるみより私が大事なんて言ってくれて。私は嬉しい。当たり前のことかも知れないが、それでもいざ言葉にしてもらえると嬉しさが増す。
「そ、そうっ⁈ それはありがたく思っておくわっ!」
こう言う時に優しく私も言えればいいのになあ。今日は素直に言えると思ったのに、実際水族館まではそれなりに出来ていたのに。素直であれば奏お姉ちゃんともっと仲良く、いい関係になれるはずなのに……。そんな自分に自己嫌悪していた。
電車はガタンゴトンと静かに揺れて、次の行き先へと向かって行った。