翌日の帰り道。私は約束通り美優羽さんと一緒に帰っていました。帰りながら、美優羽さんは昨日買ったらしい本の話をしていました。
「それで結局主人公はその友人の告白を断ったのよ。けど、それでも友人として付き合うようにするっていう私の予想通りだったけど、いい話だったわ」
「そうですか。いい話だったんですね」
私は笑顔で美優羽さんの話を聞きます。どんな話でも、あの美優羽さんとお話ができるのだから私はとても幸せです。まあ、本の話は実際に面白いのですが。
話を聞くにその友人さんは、私みたいな人物だなあと感じました。あと、主人公はどう考えても美優羽さんです。おそらく、美優羽さんも自分自身で主人公に自分を投影していることでしょう。
「楓は何か小説とか読まないの?」
美優羽さんが私に話しかけてきます。
「そうですねえ……、こう見えてあまり小説とか読まないんですよね。いつも料理のレシピとか料理の歴史、食文化に関する本ばかり読んでいるので」
私は素直に回答します。見た目が図書委員長っぽいとよく言われますが、実はこの通り、小説はあまり読みません。多分意外に思われるでしょう。
「意外だわ。料理本が好きなのは前に聞いてたから納得だけど、小説読まないのね。私のでよければ何冊か貸すけど読んでみる?」
やはり、意外に思われました。先生に一度聞かれた際にも同じ反応をされたので予想はできていました。
それは置いておいて。美優羽さんが本を貸してくれるとのことです。なんと畏《おそ》れ多いことでしょうか。私のような人間に本をお貸し頂けるとは。もちろん答えは一択です。
「そうですね。たまには読むのもアリだと思うので、借りてみたいと思います」
私は美優羽さんに本を貸してもらうことにしました。そんなことを言っていると、美優羽さんの家に着いてしまいました。
「そうだ。折角家に着いたんだから、その本今から取ってくるよ」
「えっ、いいんですか。ありがとうございます」
なんと、今から本を取ってきてくださるそうです。私は綺麗にお辞儀をしました。
「それじゃあ取ってくるから待っててね」
そう言って美優羽さんは家の中に入っていきました。
今の出来事。昨日の夕方頃からは1ミリも想像できなかったと思います。まさか、愚行を許してもらって、その上、本を貸してもらえる。私は幸せ者です。
玄関に人影が見えます。美優羽さんが本を取り終えて戻ってきたのでしょう。ピシッとした格好で出迎えましょう。私は姿勢を正します。
そのタイミングで美優羽さんが玄関から出てきました。
「はい、お待たせ。一応2冊ね。あんまり渡しすぎても読めないだろうし。読み終わったらでいいから返してくれると助かるかな」
爽やかな表情で、本を渡してきます。
「わかりました」
私は軽くお辞儀をして、丁寧に本を受け取りました。この本、大事に読まなければなりませんね。私はそう誓います。
さて、あとは帰るだけ……。そう言えば、美優羽さんの家ってどんな感じなんでしょうか。とても気になってきました。
きっと、とても綺麗で華やかなお部屋であるのでしょう。いい匂いもしそうです。
「それじゃあ、またね。楓」
美優羽さんがそう言って、手を振ります。言うなら今しかないでしょう。勇気を出して言ってみましょう。
「あ、あの美優羽さん!」
ちょっと力を出しすぎて大きい声になってしまいました。
「どうしたの楓」
美優羽さんは優しげな表情で私をみています。
「こ、こ今度、美優羽さんの家に、ああ遊びに行ってもいいですか?」
私は緊張してカミカミになりながら、提案をしました。流石に、これはちょっと厳しいかもしれません。私はストーカーだったのですから、何されるかわかったもんじゃありません。きっと断れるでしょう。
しかし、美優羽さんの反応は意外なものでした。
「いいわよ。その時は連絡ちょうだい」
なんとOKでした。私のテンションは有頂天に達します。
「わ、わかりました! 私の家も、いつでもいいので来てください! それじゃあ!」
そう言い残して、私は駆け足で家の前を後にしました。
やった! これで美優羽さんの家に入れる! 私の家にも来てくれる!
喜びを表すように、私は全力で駆けていきます。こういうお願いは言って損はしないものなのですね。私はそう思いました。
さて、いつ美優羽さんの家には行きましょうか。いや、その前にいつ美優羽さんは私の家に来てくださるのでしょうか。楽しみすぎて今日は眠れそうにありません。
私は興奮しながら、家路へと着きました。
「それで結局主人公はその友人の告白を断ったのよ。けど、それでも友人として付き合うようにするっていう私の予想通りだったけど、いい話だったわ」
「そうですか。いい話だったんですね」
私は笑顔で美優羽さんの話を聞きます。どんな話でも、あの美優羽さんとお話ができるのだから私はとても幸せです。まあ、本の話は実際に面白いのですが。
話を聞くにその友人さんは、私みたいな人物だなあと感じました。あと、主人公はどう考えても美優羽さんです。おそらく、美優羽さんも自分自身で主人公に自分を投影していることでしょう。
「楓は何か小説とか読まないの?」
美優羽さんが私に話しかけてきます。
「そうですねえ……、こう見えてあまり小説とか読まないんですよね。いつも料理のレシピとか料理の歴史、食文化に関する本ばかり読んでいるので」
私は素直に回答します。見た目が図書委員長っぽいとよく言われますが、実はこの通り、小説はあまり読みません。多分意外に思われるでしょう。
「意外だわ。料理本が好きなのは前に聞いてたから納得だけど、小説読まないのね。私のでよければ何冊か貸すけど読んでみる?」
やはり、意外に思われました。先生に一度聞かれた際にも同じ反応をされたので予想はできていました。
それは置いておいて。美優羽さんが本を貸してくれるとのことです。なんと畏《おそ》れ多いことでしょうか。私のような人間に本をお貸し頂けるとは。もちろん答えは一択です。
「そうですね。たまには読むのもアリだと思うので、借りてみたいと思います」
私は美優羽さんに本を貸してもらうことにしました。そんなことを言っていると、美優羽さんの家に着いてしまいました。
「そうだ。折角家に着いたんだから、その本今から取ってくるよ」
「えっ、いいんですか。ありがとうございます」
なんと、今から本を取ってきてくださるそうです。私は綺麗にお辞儀をしました。
「それじゃあ取ってくるから待っててね」
そう言って美優羽さんは家の中に入っていきました。
今の出来事。昨日の夕方頃からは1ミリも想像できなかったと思います。まさか、愚行を許してもらって、その上、本を貸してもらえる。私は幸せ者です。
玄関に人影が見えます。美優羽さんが本を取り終えて戻ってきたのでしょう。ピシッとした格好で出迎えましょう。私は姿勢を正します。
そのタイミングで美優羽さんが玄関から出てきました。
「はい、お待たせ。一応2冊ね。あんまり渡しすぎても読めないだろうし。読み終わったらでいいから返してくれると助かるかな」
爽やかな表情で、本を渡してきます。
「わかりました」
私は軽くお辞儀をして、丁寧に本を受け取りました。この本、大事に読まなければなりませんね。私はそう誓います。
さて、あとは帰るだけ……。そう言えば、美優羽さんの家ってどんな感じなんでしょうか。とても気になってきました。
きっと、とても綺麗で華やかなお部屋であるのでしょう。いい匂いもしそうです。
「それじゃあ、またね。楓」
美優羽さんがそう言って、手を振ります。言うなら今しかないでしょう。勇気を出して言ってみましょう。
「あ、あの美優羽さん!」
ちょっと力を出しすぎて大きい声になってしまいました。
「どうしたの楓」
美優羽さんは優しげな表情で私をみています。
「こ、こ今度、美優羽さんの家に、ああ遊びに行ってもいいですか?」
私は緊張してカミカミになりながら、提案をしました。流石に、これはちょっと厳しいかもしれません。私はストーカーだったのですから、何されるかわかったもんじゃありません。きっと断れるでしょう。
しかし、美優羽さんの反応は意外なものでした。
「いいわよ。その時は連絡ちょうだい」
なんとOKでした。私のテンションは有頂天に達します。
「わ、わかりました! 私の家も、いつでもいいので来てください! それじゃあ!」
そう言い残して、私は駆け足で家の前を後にしました。
やった! これで美優羽さんの家に入れる! 私の家にも来てくれる!
喜びを表すように、私は全力で駆けていきます。こういうお願いは言って損はしないものなのですね。私はそう思いました。
さて、いつ美優羽さんの家には行きましょうか。いや、その前にいつ美優羽さんは私の家に来てくださるのでしょうか。楽しみすぎて今日は眠れそうにありません。
私は興奮しながら、家路へと着きました。