文化祭から二週間が過ぎた。結局、ミスコンは私が一位になり幕を閉じた。朱里ちゃんはそのことを凄く喜んでいたけど、私はそれよりも、本当の自分を受け入れてもらえた事の方が嬉しかった。

 あれから、みんなとの関係も良くなったと思う。以前より気軽に話しかけてもらえるようになったし、話す話題も幅が広くなった。そのお陰か、話し相手もかなり増えた。

 と、いいことがたくさんあったが、一つだけ悪い事がある。

 朱里ちゃんがちょっとご機嫌悪くなった気がする。現に、今も一緒に帰っているが、機嫌がちょっとよくない。

「えっと、朱里ちゃんはなんで機嫌悪そうにしてるの?」

「秘密です」

 朱里ちゃんはツンとした表情で、素直に答えてくれない。

「もしかして、色んな人と話しているから、自分が忘れられてしまいそうで怖いとか?」

「そ、そんなことないです!」

 朱里ちゃんはプイッと首を振った。どうも、図星らしい。そんな朱里ちゃんがおかしく思えて、思わず軽く笑ってしまった。

「な、なんで笑ってるんですか!」

「いやー、だって。変なこと心配してるんだもん。朱里ちゃんが」

 そう言って私は、そっと朱里ちゃんの唇を奪った。

「私がこんな事するのは、朱里ちゃんだけよ」

 私が微笑むと、朱里ちゃんは顔を林檎のように真っ赤にした。

「もうっ、 先輩ったら! 私からもお返ししてやりますっ! 先輩、少しかがんで!」

 朱里ちゃんの言う通りに、少し膝を曲げる。私は一体何をされてしまうのだろうか。と、期待していると、

 ちゅっ。

 と、私と唇を重ね合わせた。

 私は水が沸騰したかのように体温が急上昇する。朱里ちゃんは、私を見て得意げな表情をしていた。

「先輩も、こういうことされるの好きですよね」

「うん」

 私は、縮こまりながら小さく呟いた。

「うへへ。先輩のそういうところ、大好きですよ」

「ありがとう」

「あ、先輩。今度の日曜日、久々に美奈さんのところ、行きましょうよ」

「そうだね。ちゃんと報告もしたいしね」

 私と朱里ちゃんは二人で、次の日曜日の計画を楽しく練り始めた。