しばらくして、私たちはデパート内のとある服屋の前に来ていた。
「なんというか、いい服っていうのはわかるし着てみたいけど、高すぎて手が出そうにないかなあ」
摩耶は苦笑いをしていた。摩耶の言う通り、この店の商品は恐ろしいほど高い。
というのも、この店は海外の高級ブランドを多く取り扱っていることで有名な店だ。当然、高校生の分際で買えるような商品は一切ない。買えるとすればボンボンくらいだろう。
「だよねー。着れるなら着てみたいよねえ」
私も摩耶に同調する。
「うんうん。私だったらこういうの着てみたいな」
摩耶は真ん中に飾られていた服を指さしていた。それはオシャレでありカッコよさも兼ね備えている服だった。
ボーイッシュで美人な顔立ちで、スタイルも抜群な摩耶なら、間違いなく完璧に着こなせそうだ。
「摩耶なら絶対似合うよ。摩耶は美人だし、スタイルもいいから」
「えっ、ホント?! なんか嬉しいな」
摩耶は白い歯をみせて笑っていた。私もそれにつられて笑顔になっていた。
「ありがとう、優衣。優衣だったらあの服なんかどうかな?」
そう言うと、今度はその左隣の服を指差す。その服は水色をベースにした、西洋のお姫様が着ているドレスのようなデザインだった。
私にはとてもじゃないが似合いそうに見えない。摩耶は私を喜ばせようと嘘をついているのかしら。
「えー。あんないい服似合うわけないよー。私みたいな凡人が着こなせるものじゃないよー。こういうのは、摩耶みたいな美人さんが着るものだよ」
私がこう言うと、摩耶は首を傾げた。
「そうかなあ? 優衣の黒のロングヘアーと、やわらかくて優しい雰囲気だからこそ似合うと思うんだけどなー。それに、優衣は自分が思っている以上にかわいいし、スタイルもいいよ。気づいてないかもしれないけど、実は男子の間で大規模なファンクラブ作らてるらしいし、後輩の女の子達にも美人さんだって評判だよ」
「う、嘘よ。そんなの。私なんかにそんなのできるわけ――」
私がそっぽ向いて否定しようとした時だった。後ろから摩耶が優しく抱きしめてきたのだ。私の体温が一気に跳ね上がり、鼓動が早くなりだした。
「優衣。あたしがかわいいって言ってるんだから、かわいいに決まってるだろ? カノジョの言う事が信じられないの?」
「そ、そんなわけ、ないわよ」
「だったら、もっと自分に自信を持とうよ。もったいないぞ」
「うん……」
恥ずかしさと嬉しさで黙り込んでいる私を、摩耶は優しく包み込んで、丁寧に頭を撫でた。その気持ちよさに、私の意識はまたトリップしかけていた。
「でも、いつか、こんな服着て一緒に出かけてみたいな」
「そうね。いつか行きたいわね」
「なんというか、いい服っていうのはわかるし着てみたいけど、高すぎて手が出そうにないかなあ」
摩耶は苦笑いをしていた。摩耶の言う通り、この店の商品は恐ろしいほど高い。
というのも、この店は海外の高級ブランドを多く取り扱っていることで有名な店だ。当然、高校生の分際で買えるような商品は一切ない。買えるとすればボンボンくらいだろう。
「だよねー。着れるなら着てみたいよねえ」
私も摩耶に同調する。
「うんうん。私だったらこういうの着てみたいな」
摩耶は真ん中に飾られていた服を指さしていた。それはオシャレでありカッコよさも兼ね備えている服だった。
ボーイッシュで美人な顔立ちで、スタイルも抜群な摩耶なら、間違いなく完璧に着こなせそうだ。
「摩耶なら絶対似合うよ。摩耶は美人だし、スタイルもいいから」
「えっ、ホント?! なんか嬉しいな」
摩耶は白い歯をみせて笑っていた。私もそれにつられて笑顔になっていた。
「ありがとう、優衣。優衣だったらあの服なんかどうかな?」
そう言うと、今度はその左隣の服を指差す。その服は水色をベースにした、西洋のお姫様が着ているドレスのようなデザインだった。
私にはとてもじゃないが似合いそうに見えない。摩耶は私を喜ばせようと嘘をついているのかしら。
「えー。あんないい服似合うわけないよー。私みたいな凡人が着こなせるものじゃないよー。こういうのは、摩耶みたいな美人さんが着るものだよ」
私がこう言うと、摩耶は首を傾げた。
「そうかなあ? 優衣の黒のロングヘアーと、やわらかくて優しい雰囲気だからこそ似合うと思うんだけどなー。それに、優衣は自分が思っている以上にかわいいし、スタイルもいいよ。気づいてないかもしれないけど、実は男子の間で大規模なファンクラブ作らてるらしいし、後輩の女の子達にも美人さんだって評判だよ」
「う、嘘よ。そんなの。私なんかにそんなのできるわけ――」
私がそっぽ向いて否定しようとした時だった。後ろから摩耶が優しく抱きしめてきたのだ。私の体温が一気に跳ね上がり、鼓動が早くなりだした。
「優衣。あたしがかわいいって言ってるんだから、かわいいに決まってるだろ? カノジョの言う事が信じられないの?」
「そ、そんなわけ、ないわよ」
「だったら、もっと自分に自信を持とうよ。もったいないぞ」
「うん……」
恥ずかしさと嬉しさで黙り込んでいる私を、摩耶は優しく包み込んで、丁寧に頭を撫でた。その気持ちよさに、私の意識はまたトリップしかけていた。
「でも、いつか、こんな服着て一緒に出かけてみたいな」
「そうね。いつか行きたいわね」