城に戻ると


 「どこまで行ってたんですか?!」

 「二人とも無事だったんだね」

 「帰りが遅くて心配してたのよ」


 待ち構えていた菊、光希、瑚冬、藤などにに質問された。


 「心配させてしまってすみませんでした」

 「少し喋っていたら、遅れてしまいました」


 綾は平身低頭で謝り、珠菜は軽く受け流した。


 「珠菜様、あの青髮の方は?」

 「珠菜がお世話になっています。夫の光希です。これからも珠菜のことよろしくね、綾殿」


 珠菜が紹介する前に光希は自分から紹介した。


 「こちらこそ、よろしくお願いします。珠菜様は結婚されたんですね〜。遅れましたが、おめでとうございます」

 「ありがとうございます」

 「立ち話もなんだし、大広間に行きましょう。真虎様も待ち人が待っているわ」

 「待ち人って誰だろう?珠菜、綾殿、知ってる?」


 珠菜と綾は顔を合わせて


 「知らないですね」

 「まだ、ここに来て浅いので知らないです〜」


 珠菜たちは菊について行った。





 「珠菜〜、綾殿〜、無事で良かった。心配したんだぞ」


 菊がばっさり切り捨てた。


 「真虎様、本題に入りましょう」

 「そうだな、入って来ていいぞ」


 真虎の呼ぶ声と共に一人の青年が入って来た。

 どこか綾の面影を受ける青年だった。


 「あ、兄上?!生きていたんですか?」

 「綾、無事で良かった......」


 綾と白夜の再会に


 「二人だけにしたいので、どこか行きましょうか」

 「そうだね。邪魔しちゃ悪いし」

 「父上、母上、光希様と外に行って来ます」


 珠菜は綾と白夜に聞こえないよう小さな声で言った。





 城を出ると、もう夜で月が出ていた。


 「月が綺麗だね」


 辺りは暗く寒いので誰もいなかった。


 「夜道を歩くだなんて、初めてです。昼間とは雰囲気が違いますね」

 「今度、僕が天界の東を案内するよ」

 「楽しみにしていますね」


 珠菜は白い息を出しながら応えた。


 「珠菜、これから先、たくさん楽しいことがあるけど、悲しいことだったり嫌なことだってあると思う。それでも、僕と一緒にいてくれる?」

 「もちろんです。私では敵わないことも光希様が側にいてくれるだけで百人力ですよ」

 光希からの返答は無かったが、珠菜の頬に温かい何かが触れた。