★恋ひ恋ひて()へる時だに(うるは)しき言尽(ことつく)してよ長くと思はば
 (巻4 661 大伴坂上郎女)


恋、来いって、ずっと考えていたよ。
夜行バスに乗り、私は今、頬杖をついて、
高速で流れるオレンジの街灯を眺めながら、
君と久々にあった瞬間、
昔みたいに君は輝くんじゃないかってふと思ったんだ。

愛してるって、
素直に言えたら、
すごく素敵だと思うけど、
私より先に、君から言ってほしいな。

ふたりの時間が長くなるくらい、
今回も思い出をたくさん作りたいね。



皆人(みなひと)を寝よとの鐘は打つなれど君をし思へば()ねかてぬかも
 (巻4 607 笠女郎)


みんながとっくに寝静まったはずの時間に、
ようやくベッドに横になり、
Spotifyで君が好きだって言ってたロックを聴き、
穏やかに打つドラムビートを聴き、
長い夜を寝ようと努力してるんだよ。

だけど、今日、君が私に言ってくれた、
「もしかしたら気が合うかもな」
って言葉が頭の中で響いて、
もっと意味が知りたくて眠れないよ。



天地(あめつち)の底ひの裏に()がごとく君に恋ふらむ人はさねあらじ
 (巻15 3750 狭野茅上娘子)


もし、君が最果てに閉じ込められても、
君のことを想う自信があるよ。

君に恋い焦がれることができるのって、
きっと世界中で私くらいだと思うから、
私のこと、重いって思わないで。



★君待つと()が恋ひ居れば()屋戸(やと)(すだれ)動かし秋の風吹く
 (巻8 1606 額田王)


君に待っててと言われて、
ひとり取り残された教室は寂しいよ。

開けっ放しの窓から、
秋になった風で白いカーテンが揺れているけど、
待たせてばかりの君は現れなくて退屈だよ。

廊下の方から誰かが歩く音がしたから、
扉を見たけど、その音は君じゃなかった。



★世の中は恋繁(しげ)しゑやかくしあらば梅の花にも成らましものを
 (巻5 819 豊後守大伴大夫)


憂鬱な恋なんて全部消えてしまえばいいのに。

なにも考えず、恋した人は春先にピンクになれば、
みんな幸せになる気がする。



去年(こぞ)の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎へけらしも
 (巻8 1430 若宮年魚麻呂)


去年の春、君と出会った瞬間に電撃が走ったんだよ。
それは恋の証だってことは、
誰に聞かなくてもわかったよ。
桜の下で君は私に微笑んでくれたのが忘れられなかったんだ。

だから、今年もこうして、
君と一緒に桜を見ることができて、嬉しいよ。



(あかね)さす日並(ひなら)べなくにわが恋は吉野の川の霧に立ちつつ
 (巻6 916 車持朝臣千年)


この街に来てから、
もう、何日もこの堤防から、
茜色の街を眺めたのに、
君との恋が忘れられないよ。

ねえ、吉野川は今日も霧が立ち込めていて、
私の悲しみを含んだ恋心みたいだね。




★天の川相向き立ちてわが恋ひし君来ますなり紐解き()けな
 (巻8 1518 山上臣憶良)


天の川銀河の対岸で待ち合わせをするように、
君との待ち合わせはいつもドキドキするんだよ。

iPhoneをみると、
まだ待ち合わせの5分前で、
その5分さえあれば、
きっと私は君への恋がもっと積もると思う。

今日もありのままの私を受けて入れてくれたら、
すごく嬉しくなるよ。
だから、私の心臓が破裂する前に早く来てほしい。



★わが君に戯奴(わけ)は恋ふらし(たば)りたる茅花(ちばな)()めどいや()せ痩す
(巻8 1462 大伴宿禰家持)


痩せ過ぎだから食べてって言って、
君がくれたチロルチョコのバラエティボックスを食べても、
きっと、私は痩せたままだと思うよ。

だって、君に恋しすぎて、
食事も喉に通らないほど、
君の前では緊張するから。



★かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根(いはね)()きて死なましものを
 (巻2 86 磐姫皇后)


こんなに恋が苦しいなんて知らなかったよ。

この気持ちを例えるとね、
エベレスト登頂に成功して、
下山途中、クレバスに落ちて、
意思半ばで死ぬのと変わらないよ。

ただね、そんなこと言っても、
君と別れた事実は変わらないから、
君と過ごした特別だった時間にありがとうって言いたい。



(おく)れ居て恋ひつつあらずは追ひ()かむ道の阿廻(くまみ)標結(しめゆ)へわが背
 (巻2 115 但馬皇女)


君と私が仮に無理矢理、
引き離さなされたら、
私は君との恋を引きずったままだと思う。

だから、私は君のあとを追うよ。

夜の闇の住宅街で、
白色LEDの街灯が心細くても、
君のことをしっかり追いかけていくよ。

だから、君は黒色したアスファルトに、
チョークで矢印を描いて、
君が行った方を示してね。

私は君の背中をしっかり捉えたいから。



丈夫(ますらを)や片恋ひせむと嘆けども(しこ)の丈夫なほ恋ひにけり
 (巻2 117 舎人皇子)


男らしく、女々しさを捨ててしまえばって思うのに、
君の前では緊張して、上手く話すことができないんだ。

そんな僕のことを笑ってくれてもいいよ。
君に片思いなのは知っているから。

ふがいなさは切なさに変わるけど、
なんとか、君に振り向いてほしいから、
僕は今日も君との恋に悩む。



(なげ)きつつ丈夫(ますらをのこ)の恋ふれこそわが髪結(かみゆひ)()ぢてぬれけれ
 (巻2 118 舎人娘子)


君がシャイで臆病なことを私は知っているよ。

ただね、君の強い気持ちを知ってから、
私は君のことが気になって仕方ないんだ。

なんなんだろうね、この気持ち。

きっと、これを例えるとね、
結んだ髪が濡れて、そっとほどけていくように、
君を恋愛対象として見始めたってことなのかも。

だから、君の強い気持ちは、もう、十分伝わってるよ。



★君に恋ひいたもすべ()蘆鶴(あしたづ)()のみし泣かゆ朝夕(あさよひ)にして
 (巻3 456 余明軍)


君のことが好きすぎて、
今日も、明日も、
君を失ったことが受け入れられないよ。

きっと、今日も夜まで泣いて、
生まれたての朝日が、
またつらさを柔らかくしてくれるんだろうな。



★見えずとも(たれ)恋ひざらめ山の()にいさよふ月を(よそ)に見てしか
 (巻3 393 満誓沙弥)


君への想いはずっと消えないと思うから、
そっと、君の夢を今でも応援しているよ。



吾妹子(わぎもこ)(あひ)知らしめし人をこそ恋のまされば(うら)めしみ(おも)
 (巻4 494 田部忌寸櫟子)


最初から、君のことを知らなければ、
僕はきっと、君になんて恋しなかったはずなんだ。

なのに、君に出会ってしまった所為で、
君との運命を恨むよ。

ただ、別々の遠く離れた街に住んでいて、
たまたま、共通の友人がいただけなのに。




★恋ひ死なむ(のち)は何せむ()ける日のためこそ妹を見まく()
 (巻4 560 大伴宿禰百代)


仮に僕がこの世からいなくなったら、
きっと、僕は君との恋を永遠にしたかったと苦しくなると思う。

だから、僕は今を後悔しないように、
ただ、君と一緒にいたい。



大夫(ますらを)もかく恋ひけるを手弱女(たわやめ)の恋ふる(こころ)(たぐ)ひあらめやも
 (巻4 582 大伴坂上大嬢)


1軍で、モテる君がどうして、
地味な私のことを見るんだろう。

私と付き合っても、きっと釣り合わないよ。
ただ、私は君以上に君のことが好きだと思うよ。




相見(あひみ)ずは恋ひざらましを(いも)を見てもとなかくのみ恋ふるはいかにせむ
 (巻4 586 大伴宿禰稲公)


君を見た瞬間、
これが一目惚れなんだって初めてわかったんだ。

もし、君と会わなかったら、
君に恋することもなかったのに、
もう、その恋を戻すことができないじゃん。

この恋心をどうすれば、
落ち着かせることができるか、
教えてほしい。



八百日(やほか)行く(はま)(まさご)もわが恋にあに(まさ)らじか(おき)島守(しまもり)
 (巻4 596 笠女郎)

私ね、あなたとのこの恋は強いと思うんだ。
砂浜に描いたハートはずっと、波にさらわれて、
元に戻ることはないくらいに。

それだけ、この恋は強くて、
砂浜の無数の砂よりも、多い愛情をあなたに注ぐ自信があるよ。

ただね、あなたは遠くを見つめているみたいで、
こんなに近くにいるのに、遠く感じるよ。



★恋にもそ人は死にする水無瀬河(みなせがわ)下ゆわれ()(つき)()()
 (巻4 598 笠女郎)


なんで君との恋はこんなに憂鬱なんだろう。

水が引いた川をゆっくり歩いているみたいに、
寂しくて、切ないよ。

私はただ、君のことが好きなだけなのに。
つらくて、苦しくて、
思い詰めて、
私の気持ちは君の所為で痩せていくんだ。



間無(あひだなく)く恋ふるにかあらむ草枕旅なる君の夢にし見ゆる
 (巻4 621 佐伯宿禰東人)


ねえ。
絶え間なく、君と私の恋愛は続いていると思うよ。
だって、その証拠に、
君のこと、夢でみるくらいなんだから。




★わが背子(せこ)がかく恋ふれこそぬばたまの(いめ)に見えつつ()ねらえずけれ
 (巻4 639 湯原王)


なあ。
君のこと、夢でみたよ。



吾妹子(わぎもこ)が恋ひ乱れたり反転(くるべき)()けて()せむとわが恋ひそめし
 (巻4 642 湯原王)


君とファミレスで打ち解けた日は、
すごくときめいて、君に夢中になって、
心が恋で乱されたのにね。

だけど、倦怠期って切ないね。
あのとき、恋で乱された心はもう戻らないんだから。

そんな冷めた自分が最近は嫌になるんだ。




★相見ては月も()なくに恋ふと言はばをそろとわれを思ほさむかも
 (巻4 654 大伴宿禰駿河麻呂)


偶然、君の姿を夜の公園で見かけて、
ふたりで一緒にぼやけた月を眺めながら、
ベンチで僕がふたつ買ったカフェオレを飲んでいろんな話をした。

その日から僕はどうしてかわからないけど、
君のことが気がかりで仕方ないまま、
あの日から一週間近く経ってしまった。

君と会ってから、そんなに月日は経てないのに、
恋しいのはどうしてだろう。

たったあの日の夜のことだけで、
そんなこと君に言いたいけど、
あの日の親密感だけで、
勘違いしないでっていうかな。

とにかく、そういうのは抜きにして、
また君とふたりきりで話したいな。




★われのみそ君には恋ふるわが背子が恋ふとふことは(こと)(なぐさ)
 (巻4 656 大伴坂上郎女)


メンヘラとか、独占欲強いとか言われてもいいよ。
それくらい私はすごく君のことが好きだから。

ただ、君にはこの想いは届いていないんだ。

ただ、私が勝手に君のことを「好き」だと思っているだけで、
昨日の夜、君に見せてしまった涙の意味なんてわからないでしょ。

だから、君が私に対して「好きかも」って言った言葉は、
ただの私に対しての慰めにすぎないことくらいわかってるよ。

だから、嘘でもいいから「好き」って言い切ってほしかった。




恋草(こひくさ)力車(ちからぐるま)(なな)車積()みて恋ふらくわが心から
 (巻4 694 広河女王)


もし、恋が叶う薬草を詰んで恋が叶うとしたら、
私の白いハスラーで7往復してでも、
一方的な片思いの、
この恋を叶えようとするよ。

それだけ、執念深いし、
君のこと好きすぎるから、
こんな気持ちを抱いている私の恋に気づいてほしい。



★恋は今はあらじとわれは思ひしを何処(いづく)の恋そ(つか)みかかれる
 (巻4 695 広河女王)


ひどい振られかたをしてから、
もう、私になんて恋はしばらくないと思ってた。

それなのに、今、私の恋がまた始まってしまったよ。

ねえ、どうして、君はそんなに優しくしてくれるの?
胸の奥を掴まれた感覚がして、
忘れかけていた恋心が揺れちゃうじゃん。



家人(いへびと)に恋ひ過ぎめやもかはづ鳴く(いづみ)の里に年の()ぬれば
 (巻4 696 石川朝臣広成)


遠距離恋愛って、覚悟決めてても、たまに寂しくなるんだ。

月日が経つたびに君を忘れてしまうような気がして、
時折、恋が過ぎていくような涼しさを感じるんだ。

ただ、君への想いは変わってないよ。

旅立つときになぜか君がくれた、
カーミットのフィギュアをみると思わず笑えるんだ。
木箱に座り、陽気に手をあげる
そのあどけない姿を、
たまに切なく感じる自分がおかしくてね。

寂しさを紛らすものをくれてありがとう。
笑うたびにもう少し、頑張れそうな気がするよ。




百千(ももち)たび恋ふといふとも諸弟(もろと)らが(ねり)のことばはわれは(たの)まじ
 (巻4 774 大伴宿禰家持)


もうさ、
100回、1000回と、君に気持ちを伝えたとしても、
もう、結果なんて何一つ変わらないことくらいわかってるよ。

ただ、君に未練が残るくらい、
君に真剣に恋をしていたってことだけは知ってほしいな。

君の嘘はそれくらいつらかったし、
君の巧みな言葉はもう、信じることなんてできないよ。
マジで。



★相見てはしましく恋は()ぎむかと思へどいよよ恋ひまさりけり
 (巻4 753 大伴宿禰家持)


一目惚れするなんて、思わなかったけどね、
君のこと、もっと知りたくなったんだ。

春の冷たい風が吹く中、
君と一緒にバスを待っている間とバスの中で、
こんなに話すとは思わなかったよ。
そして、同じバンドが好きだってだけで、
君の瞳が一気に輝いたのを見逃さなかったよ。

それは夢みたいにしばらくの間、
君との接点がそれから持てずに、
すれ違う日々は続いたけど、
その気になる気持ちは和むことなんてなく、
君のことがどんどん気になりだしたんだ。

だから、今度のツアーのチケット、
わざと2枚取って、
一緒に行こうって誘ってみよう。



恋死(こひし)なむそこも同じそ何せむに人目他言言痛(ひとめひとごとこちた)みわがせむ
 (巻4 748 大伴宿禰家持)


恋しさで死にそうなんだけど。

恋人以上恋人未満で
学生生活を送るってしんどいね。

そんなこと君に言ったらもちろん、
君は僕に引いてしまうだろうし、
こんな女々しさを君に見せるのなんて望んでないよ。

だから、もっと君に近づく決意をした。



★かくばかり恋ひつつあらずは石木(いはき)にもならましものを物思(ものも)はずして
 (巻4 722 大伴宿禰家持)


こんなにこの恋が憂鬱なら、
ハートの形の翡翠(ひすい)や、
どんな恋も彩るクリスマスツリーになりたい。

そんな妄想をスタバのカウンター席で、
ずっと続けられたら、
こんな思いにふけることないのに。




夜昼(よるひる)といふ(わき)知らにわが恋ふる心はけだし(いめ)に見えきや
 (巻4 716 大伴宿禰家持)


寝ても覚めても、
僕は君の夢を見続けたいな。
今朝、君が微笑む夢をみたから。

きっと、君の夢の中に僕が現れる自信があるよ。

それだけ、僕は君に夢中なんだ。




★恋ひ恋ひて()ひたるものを月しあれば()(こも)るらむしましはあり待て
 (巻4 667 大伴坂上郎女)


恋、恋焦がれて、ようやっと久々に会えたんだから、
白くて天井が高い、到着ロビーで抱きしめたいくらいなんだよ。

空港の雑音が私の心臓のドキドキをかき消している。

だから、君の姿を久々にみた瞬間、
私は通話だけじゃ伝わらなかったことを、
溢れるくらい君に伝えたくなった。

そして、簡単に君は私のことを抱きしめて、
人目なんて気にしないで、
「話したいことがたくさんある」って小さな声でそう言った。

空港から街へ向かう電車に乗って、
生まれたての今日の月を眺めながら、
深まる夜を無数の会話で埋めようね。

そして、寂しさを埋めて、
君とずっと、一緒にいることを実感したい。




【参考資料】

https://tankanokoto.com/
http://manyou.plabot.michikusa.jp/index.html
https://manyo-hyakka.pref.nara.jp/db/