「俺も、頑張るかぁ」
刀の柄に手をかけながら、アイジスは気合を入れた。
その目に捉えるは、向こうの家の屋根を飛んで暴れるアラムの姿。
取り敢えずアラムの所へ向かいながら、逃げ遅れた住民が居れば都度助けよう。
「ここは私に任せて、早く行ってやってくれ!」
後ろからそう声をかけるのは、厨房から出てきたジョウルだった。
その手には、炎の光に一閃する一本のロングソードがあった。
「これでも昔はこの町の警護兵をやっていたんだ。娘っ子一人守るくらいなら、私でもどうにかなるから!」
娘っ子とは、ジルの事だろう。
轟音と衝撃で、今は気を失っている様だ。
そんな状態で避難させる訳にもいかないし。
ここはジョウルに頼る他無さそうだ。
「お願いします!」
「おう! 任せな!」
そう言ってニヤッと笑いながら、親指を立てた。
頼もしい。
アイジスは素直にそう思う。
「それでは、行ってきます」
「……頑張ってな」
少し哀愁漂う表情で、そう言う。
やはり、一人娘の愛した唯一の人が死ぬ事に寂寞感を抱くのは至極当然だ。
ならば成る可く、苦しまない様に、弑す。
それが、俺が出来る、唯一の葬送なのだ。
――― 第六話「同族嫌悪」 ―――
「こりゃ……酷いな…………」
朝食時と言うのもあって、火を起こしていた人が多かったのだろう。
その上ギィガルの家屋は全て木造だから。
一つ火がつけば直ぐに延焼するのは当然。
そう思いながら、わざと迂回しながらアラムの許へと向かう。
嫌がらせでは無い。
道中家屋に埋もれている人が居れば救出する為である。
「私も手伝います」
また後ろから声をかけられたと思ったら、今度はリリーだった。
「避難は?」
「住民の半分が既に川の近くに避難できているので、火の手が回ってきても大丈夫かと。ただ半分しか居なくて。ならアイジスさんに着いて行き、そこで見つけた人を連れて行く役を担った方が効率的かと思いまして」
「成る程……」
それも一理ある、と思った。
だが、そうするとリリーにも危険が及ぶ。
アラムはまだしも、リリーまで死ねば後味が悪すぎる。
「でも危険で……」
「覚悟の上です」
嗚呼そうか。アイジスは悟った。
これ以上アラムに、誰かを殺させたく無いのだ、と。
愛する人が、また愛した人民を殺すなど、大禍以外の何物でもない。
況してやそれを望むべくもないアラムに犯させるなど。
妻からしたらとても看過できない事であるのは言うべくもない。
「……わかった。だが、絶対に死ぬな」
「分りました」
最早敬語を使う余裕すら無くなってしまった。
だがリリーなら許してくれるだろう。
そう思いながら、町を駆け抜けて行く。
◇
「こっちにも居た!」
「了解!」
これまで二十人程助けたが、その間に少し仲良くなった気がする。
敬語を使う事も無ければ。
「アイジス! 瓦礫が重くて!」
「わかった、今行く!」
呼び捨てにする様になった。
そりゃそうだ。一々「さん」とかつけてたら、伝達効率が悪すぎる。
成る可く報連相は速やかに、且つ効率的に。それが鉄則だ。
普段なら、呼び捨てで構わない間柄の人が出来て嬉しいアイジスだが、今はそんな感情など一切持ち合わせていない。
この状況で煩悩を持ち込むなど、そこまでアイジスは腐っていない。
爆発音が段々近づいてくる。
アラムの所へ近づいてきた証拠だ。
「これ以上は厳しい! リリーは直ぐに安全な場所へ! これより、アラムを弑す!」
「…………分かった!」
少し裏返った声でそう言って、リリーは走り去っていった。
場所は宿屋から直線距離で行くと三分もかからない所。
しかしジグザグに迂回し、その上救助まで行っていたため、ここまでで十五分ほどかかっていた。
ここの周りにもう人がいない事は確認済みだ。
リリーも避難させたし。
――あとはアラムを弑すまで。
アイジスは再び柄に手をかけ、深呼吸をする。
そして今度は柄を掴み、その刀を鞘より抜き、構える。
抜刀したその佇まいはアイジスとは思えぬ程に気魄に満ちていて。
また威風堂々としたその眼光は、真っ直ぐにアラムを貫いた。
「アラム! こっちへ来い! 相手してやる」
天井の上を飛ばれては相手出来ないので、なんとか地上に引き下ろそうと声をかけた。
どうせ挑発などしても自我も思考回路も無い異形相手には無意味であるため、そんな無駄な事に労力は割かない。
手っ取り早くこっちに気付いてもらう事が肝要である。
「グゥッ?」
案の定アラムはアイジス含めその周りを睥睨した。
その眼光はまた鋭く。
その赫光は、町を覆う炎よりも赫かった。
炎の陽炎に揺らめく赫い瞳は、血涙の様相を成している。
まるで、自分の犯した惨憺たる現状に、嘆く様に。
「…………来い」
アイジスがそう呟いた瞬間。
それを聞いたからか、或いは気紛れか。
屋根より辺りを睥睨していたアラムは、アイジスの前へと降りてきた。
距離は概して十メートル程。
両者睨み合う。
しかしアラムにはあまりアイジスを痛めつける気は無い。
寧ろアイジスの事など気にも留めていない。
異形とは気紛れなのだ。
「殺すなら…………今か……」
そう呟き、アイジスはゆっくりと納刀した。
しかしその手は柄を握ったまま。
そして念ずる。
自分の自我をゆっくりと自分と乖離させて行く。
ギリギリ自分の意思を残す様にして、ゆっくりと、ゆっくりと。
もうそうなれば止める事は叶わず。
尤も、止める術など、アイジスにも持ち合わせていないのだ。
だから。
「駄目ーーーーッ‼︎」
ジルの叫びを聞いても、止まる事は出来ない。
◆
「はっ……!」
「目覚めたかい?」
ジルは宿屋の中。
アイジスが出てから僅か一分後に、目覚めた。
慌てて立ち上がり、状況を整理する。
アイジスとご飯を食べていた時。
アラムが来て、リリーが来て。
アラムが出て、リリーとアイジスが話していて。
そして轟音が鳴り響いて。
そこで記憶が途切れている。
「どうやらアラム様が『異形』とやらになってしまったらしくてねぇ」
なんて事もない様にジョウルが告げるが、内心は複雑だ。
異形というものが何か理解出来ている訳では無いが、少なくとも、殺す他どうしようもない暴君と成った事はジョウルでも理解出来た。
「……異形………………に?」
ジルが思い出すのは、アイジスと出会った昨日の事。
そして、愛した兄の事。
――アラムさんが、ああなったの?
気付くとジルの体は動いていた。
立ち上がり、真っ直ぐ宿屋の入り口に向かって走り、そこから外へ駆け出る。
「な、何を!」
ロングソードを鞘に入れ、急いでジョウルもジルを追う。
ジルは目の前の炎を見て唖然とする。
「ゴホッゴホッ……」
煙を吸ったのか少し咳き込むが、また直ぐに走った。
それにジョウルが後続する。
ジルが向かう先は轟音の鳴り響く場所。
そこにアラムがいる事はジルにも明白だった。
「そっちに行ったら駄目! 早く戻りなさい!」
必死にジルに向かって叫ぶが、ジルはどこ吹く風。
ジョウルの叫びを無視して、走り続ける。
何故走るのか、ジルにもわからない。
止めたいのか。
それとも。
――そしてそこには、アラムと睨み合うアイジスの姿があった。
「駄目ーーーーッ‼︎」
急いでそう叫ぶが、既に手遅れ。
◇
アイジスが自我の乖離を始めた瞬間。
その目が段々と変色して行く。
白目が段々と燻んで行き。
そこでアイジスは目を閉じた。
深呼吸をして、再び開眼する。
――そこには、赫い両眼があった。
「…………え?」
正にその目は異形のそれだった。
しかしアイジスは異形では無い。
その予兆も何も無かった。
「……何?」
後ろからついてきたジョウルも、唖然としている。
アイジスの目は赫い。
しかし異形の様に暴れたりはせず、柄を握ったまま姿勢を維持していた。
その様は完全に自身の体を意思によって御しているような。
全く異形とは異なる風体で、アイジスは佇む。
「一体何が…………?」
ジルが呟くがその呟きがアイジスに届く事は無く。
アイジスがその上体を屈める。
左足を後ろに下げ。
右膝と額がぶつかるギリギリまで、屈んだ。
そして、微かに囁く。
「―――居合、一文字」
刹那。
正に雷が如き速さで、アイジスはアラムの背後に佇んでいた。
アイジスのいた場所には砂埃が立ち込め、地面には少し亀裂が生じている。
はっきりとそこに足形が見えたのは砂埃が晴れてからである。
少し遅れて突風がジル達を襲った。
目も開けていられない程の突風に、必死に目を開け、何が起こったが確認しようとするも、叶わない。
それはとても、人間には成し得ない所業だったのだから。
目を見開くと、紅い噴水が頭から降り注ぐ。
ジルはそれを袖で拭い、前に目を遣ると。
そこには、首に亀裂の入ったアラムの骸があった。
いつの間にかアイジスは刀を納め、その目は普段のものに戻っている。
赫の残滓の一つも残さず、異形であった気配も見せず。
そこには“人”の、アイジスが居るだけ。
◇
(駄目…………)
ジルはそう、心の中で唱える。
リリーは、優しい人。
だからこそ、大切な人を喪う悲しみを、感じて欲しく無い。
ジルは一度その身で、心で経験しているのだ。
大切な人が骸となるその辛さを。
それを、経験して欲しく無い。
リリーが傷付く所を、見たくない。
だからリリーは、アラムを殺す事を、認められなかった。
だから、止めさせようとした。
だが、駄目だった。
「…………結局、私には何も、何も出来ない」
ジルは自身の弱さを嘆いた。
自身が強ければ。
兄も守れたし。
アラムも守れたかも知れない。
リリーの涙を見る事も無かったし。
何より自分が悲しみに打ち拉がれる事も、無かった。
自分が弱いから。
何も守れない。
目の前で散る命を、傍観して、ただ憐れみ、哀哭する事しか出来ない。
ジルは嘆いた。
自分を咎めた。
胸が、苦しい。
◇
「アラム……ッ!」
物陰に潜んでいたリリーは、その骸に向かい駆ける。
必死に、必死に駆けて行く。
ジルにはもう、それを止める気概も無い。
ただ、傍観した。
アイジスは振り向き、やっと地に倒れ行くアラムに目を見やる。
この暫く直立姿勢を保てたのは、やはり異形たる生命力の賜物なのだろう。
人と違い、首を刎ねられても、そこから絶命には、数秒かかる。
つまりはそう言う事だろう。
リリーは落ち行くアラムの首を見て、再び大粒の涙を置いて行く。
駆け、駆け、駆け、駆け、駆け、駆け、駆け、駆け。
その首が地に落ちる寸前。
リリーはその首を胸に抱いた。
優しく、優しく、抱擁した。
「ぐ、あぁ! あ゙ぁ‼︎ あぁぁぁぁぁぁ‼︎」
呻く。
――ただずっと、夢を見ていたのだ。
この静寂の中に。
――いつか誰かと結婚して。
炎の燃える事も掻き消え。
――愛し合って。
いや、ただ聞こえないだけ。
――ただ、誰かと共に、生きたかった。
耳にも心にも蓋をして。
――朝起きたら、真っ先におはようと言いたかった。
そうすれば。
――出掛ける時には、見送って欲しかった。
何も聞こえない。
――「いってらっしゃい」と言ってくれるだけで良かった。
そうすれば。
――一緒にご飯を食べて。
何も感じない。
――その日にあった他愛も無い話をして。
何もかも、隔離して、寂寥を置いてけぼりにする。
――しょうもない事で笑い合いたかった。
「ただ……それだけだったのに…………」
地面に膝をつけ、蹲り、ただ慟哭する。
その胸には、愛した人の骸を抱いて。
しかしあの人の温かみも、既に失われている。
冷たい。
冷たいよぉ。
――「ありがとう」
リリーは、そう呟く。
「アラムを殺してくれて、ありがとう」
アイジスは、その見当違いな礼に、たじろぐ。
「アラムを解放してくれて、ありがとう」
しかしそれは、リリーがアラムを、アラムであると証明したいが為の礼なのだ。
「アラムだって、これ以上人なんか殺したく無い筈です」
最もアラムの理解者たるリリーは、その心を一つずつ解いてゆく。
「……本当に、ありがとうございました」
溜め息混じりのその感謝は、アイジスの心を抉った。
初めて、殺した事を是正された。
そうか、愛する人が誰かを殺している所を見るのは、酷だ。
況してやそれが本人の意思が介入しない、望まぬ殺人ならば尚更。
アイジスの殺した人も、異形である以上そう言う人なのだ。
アイジスも、リリーの言葉に救われる。
自分の殺人が、一種の正義であった事を教えてくれた。
それだけで、アイジスの心に掛けられていた枷が、少し綻んだ様な気がする。
「……ダイア…………」
アイジスは、嘗て愛した人の名を囁く。
しかしその囁きは、誰の耳にも届かない。
綻んだ枷の破片と共に、風へ空へと、舞い上がった。
そして誰の目にも止まらぬ場所まで、飛んで行ったのだ。
「…………ごめんなさい」
アイジスは、本来口にすべきでは無い言葉を、そっと口にした。
◆
雨が降った。
服に付いていた血は雨によって流れ。
町の炎も全て鎮火し。
リリーは死者を土葬していた。
犠牲者の数は、五十六人。
しかし、あれだけの被害でよく五十人に留めたものだと、アイジスは感じる。
それはこれまで様々な人の死を見て来た上での感想だが。
リリーはそうは行かない。
知っていた人が。
仲の良かった人が。
五十人も死んだのだ。
内心穏やかで無いのは当然。
しかし、心を壊してはいない様だった。
そして次の日の夕方。
五十六人全員の土葬が終わり、リリーが手を合わせて祈る。
それを後ろから、アイジスとジルは眺めていた。
「アイジスさん」
突然、ジルがそう呼んだ。
「え? は、はい」
突然ジルに呼ばれた。
動揺するなと言う方が難しい。
「ありがとうございました……」
ジルが、アイジスの目を真っ直ぐ見ながら、そう言った。
ジルはまだ幼女であるが美人である。
アイジスは少し頬を赤らめるが、そんな事を考える雰囲気では無いので、その煩悩を霧散させる。
「……何が…………?」
「兄を殺してくれて、です」
「ッ………………」
アイジスは、言葉に詰まった。
「兄の名は、バル・コルミットと言います。家族思いの、とても優しい兄でした」
ジルは、初めて微笑んだ。
「バル兄さんが居なければ、今の私は居ません。兄さんがここまで育ててくれたんです」
しかしその表情が曇る。
「リリーさんの言葉で、私気付いたんです。アイジスさんが兄さんを殺した時。私はアイジスさんを恨みました。唯一の家族を、最後の家族を、何の関係のない第三者の手によって奪われたのですから」
ジルは目線を、墓の掃除をしているリリーの背に向けた。
「ですが、兄さんが苦しんでいたのならば、アイジスさんのお陰で、それ以上苦しまなくて済んだ。そう考えると、やはりアイジスさんは私の命も、兄さんの心も救ってくれた恩人なのだなぁと思って」
アイジスは驚く。
初めてこんなにも喋ってくれた事に。
そして、この方が、よりジルらしいと、不思議とそう思えた。
「ありがとうございました」
そう言ってジルはアイジスに一礼した。
「いや……俺はただ…………」
そこで言葉に詰まった。
なんて言えばいいのかわからず、思案する。
その末に出した結論だが、後々思えばなぜこんな事を言ったのかはわからない。
「異形とは、自我を失い、自我を取り戻さんとするもの。そう言ったな」
「はい…………」
急に何の話が始まったのか分からず、ジルは少し戸惑う。
「だが、実際に自我を取り戻さんとしているのかは、解らないんだ」
「え…………?」
「ただ自我とは、自分の体を制御するリミッターでもあり、心を作る人格の核であったり。つまり人の内面を司るのが自我なんだが。つまりは自我が無くなって自分の事を御せなくなった人なのだ」
「はぁ…………?」
「だが考えてもみろ。この世界には、自分を御せて無い人間など腐る様にいる。異形の様にどうしようも無く自分を御せていないのでは無く、貪欲さ、強欲さ、そんなどうしようも出来る煩悩に抗えず御せないのだ」
アイジスは空を仰いだ。
「つまりな、俺は思うんだよ。どうしようも無い自然の流れで自分を御せない異形よりも、腐った煩悩で自らを御せない人間の方が、よっぽどマヌケに見える」
その目には、怨嗟の炎が燻っていた。
「マヌケな人間は大嫌いだ。腐ってる人間も大嫌いだ。話にならないし、根本的な価値観が俺達とは違う」
周りを見渡すと、アラムの骸に向かって手を合わせる人が沢山いた。
「俺と同じ人間でマヌケな同族より、純粋な異形の方が、よっぽどマシさ」
そう言いながらアイジスは墓に向かって手を合わせる、それを見よう見まねで、ジルも手を合わせた。
目を瞑り、今後の事について考える。
そして、この一瞬で決めた。
「アイジスさんはこれからも旅を続けるんですもんね?」
「そうだが…………」
「なら私も連れて行って貰えませんか?」
「……えっ…………?」
そう驚きはするが、決して不思議な話では無いと気付く。
ジルとは暫く一緒に居る計画だったので、その通りではあるのか。
ギィガルで置いて行くものだと思っていた。
「目標を見つけたんです」
ジルは、奥に流れる川と、そこに映る夕陽に目を向けた。
「異形とは何か。それを突き止めたいんです。異形化とは不思議な現象ですが、何かキッカケやそうなる理由がある筈。それを、突き止めたいんです」
異形の正体……か。
あまり思い出す事も無かった。
「お願いします。どうか、これからも旅を共にさせてください」
そう言ってジルはまた頭を下げた。
さてどうするか……と思案する事もなく。
アイジスは答えを直ぐに決めた。
「子供が、そんなに頭を下げるものじゃ無い」
「す、すみません」
「だが確かに、異形の正体を知るのは面白そうだな」
「そうすれば何れ、異形化した人を元に戻す事も出来るかもしれないですし」
「それもそうだな。よし、そうしよう!」
アイジスとジルの旅は、これからも続く。
兄妹を奪った異形化の原因を暴くべく。
また、異形になった人を戻す方法も探り。
これから異形の所為で亡くなる人を減らす為に。
◇
川に映る夕陽は綺麗だった。
その橙色は、皆の頬を朱く染め上げ。
また心を暖めた。
アラムの見せたがっていた夕陽を見た。
確かに、これは綺麗だ。
アラム、ギィガルは、いい町だな。
アイジスは、心の底からそう思った。
この思いが、アラムの心に、届く事を願って。
明日、アイジスとジルはギィガルを発つ。