「え、奏先輩に告白したんだ!?」

しなのが凄い驚いた顔をした。

1日の授業が終わった後のホームルーム後、しなのを廊下に呼び出した。

しかも自分たちのクラスの前の廊下じゃなくて、だいぶ離れた空き教室の前の廊下まで。
ここなら誰にも聞かれないかと思ったから。

「えー…思い切ったね」

開けた窓から顔を出した。
廊下をずーっと真っ直ぐ歩いて一番奥まで来てしまったから、目の前は軽音部のある校舎が見えていた。まだ軽音部の窓は開いていない、誰も来てないみたい。

「藍はずっと言わないのかと思ってたよ」

「私はずっと言いたかったよ」

「そうなの!?」

「うん、でも言ってほしくなさそうだったから」


どうして好きになったのかなんて覚えてない。

奏のお父さんとお母さんがうちのお父さんとお母さんと仲良かったから、1つしか変わらない私たちは気付けばよく一緒に遊んでいた。

だから物心ついた時から私の中には奏がいて、大きくなればなるほど奏のことしか見えなくなった。


でも奏はそんな風に思ってないこと、わかってた。


「それで…奏先輩は?何て?」

「すぐに返事が欲しいわけじゃないからって…、とりあえず保留になってる」

困った顔をしたから、これ以上聞くことが出来なかった。

なんて言われるのか怖くて聞けなかった。

わかってることを聞くのはどうしても怖くて、今すぐ聞きたいわけじゃないからって空気を読むように笑ってしまった。

「でもそれって気まずくない?だって一緒に住んでるじゃん、なのに…」

「そこは普通にしてるよ、今朝だって鈴木さん家のポチ今日も寝てるねっていつもと変わらない会話しながら学校来たんだから」 

「メンタル鬼強…!」

「でもそれは私がそうしないと…っ」

私が普通にしないと奏が普通に出来ない、告白するんじゃなかったなんて思いたくない。 

告白するって決めて、気持ちを伝えたんだからそんな風には思いたくない。

「そっか、うん、そうだよね…」

「じゃあ、一応聞いてもらおうかなって思っただけだから私そろそろ部活行くね」

「え、部活行くの!?マジで鬼メンタルじゃん!」

「うん、だって今日も部活はあるし…」

だけど、行っても行かなくてもどっちでもいいんだよね本当は。


だって私はー…