「私はもう必要ないってこと?」

「え?」

ひゅーっと吹いた風で藍の長い髪が揺れる。

「いらないの?」

「そんなことは言ってないよ!」

「私に…歌は歌えないし、曲も作れないし、楽器も演奏出来ないし、こんなことしか出来ないからっ」

「十分だよ!藍は軽音部じゃないんだから!」

なだめようとして言っただけだった、でも思ってたよりも大きな声が出てしまったから。

「そう…だよね、そうだ。私軽音部じゃないんだった」

「藍違う!」

「部外者だったね」

「そうゆう意味じゃっ」

無理に笑った藍が悲しくて。

「望月さんのことは奏が軽音部に誘ったんだよね」

“藍ちゃんの気持ちは知ってんでしょ?”

知らないよ。

聞いたことないから。

「これだけやってても私のこと誘ってくれたことないのに」

「それは…っ」

知らない。

聞きたくない。

知らないままでいたい。

「今日は奏に聞いてほしいことがあって一緒に帰ろうって言ったの」



知りたくない…!



「本当はずっと言いたかった」


言わないで、そんなこと…っ


「好き、奏のことが」