…でも覚えてるよ、って言うのも違うか。

若干忘れてたのも本当だし、でも言われてみればそんなこともあったなーってよみがえって来たし、うーん…


藍は俺になんて言ってほしかった?


俺はどんな顔をすればよかった?


でも俺はー…


「そーーーーーうっ!!!」

「うわっ」

部室の窓から外を眺める俺の背中に思いっきりタックルかまして来た。マジ落ちるかと思ってびっくりした。

「駿二!危ないなぁ!!」

「すまん、すまん!勢い余って!だって奏くん微動だにしないで外見てるから寝てんのかと思って」 

「起きてるよ」

「起きてるなら部活始めるから、部長今日のスケジュール!!」

藍が作ってくれた練習スケジュールを見る。スマホに送って来ただけでなく、ちゃんと印刷までしてきてくれた。

「えっと今日は…今から1時間個人練してそのあとみんなで合わせる感じで」

「いつもと変わらんない流れな!」

「で、来週久野先生来るって言うから」

ホワイトボードに藍が今日の練習内容を書いてくれていた。今から5時まで個人練習、その後バンド練習って。

「久野ちゃん、マジで全然来ないよな」

「ここまで来るの大変なんだって、膝が痛いって言ってた」

「おじいちゃんかよっ、おじいちゃんだけど!」

「それで来週見に来るって言うから、その時経過発表の演奏よろしくってさ」

今からだいたい2時間の部活、文化祭って目標があるといつもよりはやる気になれる。弾くのは自分が作った曲っていうのは、照れ臭くはあるけど。