帰りのホームルームが終わったら職員室へ行く。久野先生にあいさつをして部室の鍵をもらったら、ひたすらに長い階段を一歩ずつ上り続ける。

自分の教室が3階で、職員室は1階で、部室は4階ってどんだけ階段下って上るのかわからない。部長の俺が鍵を取りに行く係だから、それをわかって駿二も藍もゆっくりしか部室に来ない。

でも例外が1つあって。

「灯璃!」

「あ…っ、奏くん」

「今から部活行くとこ?一緒に行こうよ」

たぶんホームルーム終わってそのまま来た灯璃と2階へ続く階段を上ってる途中で会った。

隣に並ぶようにタタタッと階段を駆け上がった…
のにサッと一歩左に避けた、灯璃が。

………。

今のは何?わかりやす過ぎない??

「ねぇ、灯璃」

「ん?」

「俺のこと避けてる?」

「…っ」

「?」

ピタッと階段を上る足が止まった。下を向いて、かと思えばグンッとこっちを見た。

「避けてないよ!」

絶対避けてる時の顔してる…!

顔に避けてるって書いてるぐらいわかりやすい反応だった。

…いや、俺何したんだろう?
全然思い当たる節がない。

うーん、困るな。教えてくれたら助かるんだけどなぁ。

「あ、そうだ灯璃!」

「…うん」

「友達出来た?」

「友達?」

避けてる原因は程よいとこで聞こうかと思って話題を変えるとにした。たぶん、今聞いても教えてくれそうにはないと思ったから。

「うん、今日グラウンドにいる灯璃たちに手振った時、藍ともう1人いたよね!」

「あ、…そーなの。クラスの子で」

「よかったね」

やっぱりそうだったんだ、もしかして?って思ったのがそうだった。
高校入って友達がいないって言ってた灯璃の友達かぁ、そしたらつい顔が緩んだ。

「もう何も持ってないなんてことないね」

何も持ってないはずなんかないんだけどね、灯璃には十分…