「んじゃとりあえず練習はしよっか!奏が楽譜コピーして来てくれたから!」

部室に来て早々楽譜を要求された駿二以外に渡すためにスクールバッグからクリアファイルを取り出した。

まずは隣にいた藍に。

「はい」

「ありがとう」

なんとなく照れちゃった俺に藍はふふっと笑った。

笑われると余計になんか、あれだ。

次は少し離れたところにいた灯璃に。

「これ…」

「ありがとう」

楽譜を差し出したスピードより遥かに早く灯璃が楽譜を持って行った。

「?」

しかもちっとも顔を上げずに。

「…灯璃?」

灯璃が顔を上げてくれなきゃ顔が見れないんだけどなぁ。

渡した楽譜をじっと見て、上を見ないようにしてるみたい。

「じゃあ今日は個人練ね!俺と奏は各パートのギター練で、灯璃ちゃんは聴いて主旋律覚えてもらって、藍ちゃんは…俺らのバンド名考えといて!」

「…わかりました」

「え、飲み込んだ!?マジでやってくれんの!?」

「駿二先輩よりはいい案出そうなんで」

「ありがとう!最高!!!」

個人練習…かぁ。

ギタースタンドに立てかけたギターを見つめ、ちょっとだけ考える。

気のせいかもしれないし、気にし過ぎなのかもしれない。それこそ歌詞のことで悩んでるのかもしれないし…


でもやっぱり気になった。