「で、俺は驚いたわけよ。休んでしまったのは申し訳ないけど、元々この日はブルスカをやるって決めたてのに全然違う曲が演奏されてるじゃありませんか…!」

なんだかよくわからない口調で、ミュージカルみたいに話し始めた。数歩歩いてみたり、大袈裟に両手を広げて見たり、この間まだ奏くんは一言も話してない。

「気になった俺はすぐ藍ちゃんに問い詰めた、そしたら藍ちゃんはこう言ったんだ…“そんなのもう3週間も前から噂になってますよ”って」

私と奏くんに背中を向け、髪をかき上げた。 

顔は見えないけど、たぶん…決めに決まってると思う。

「知らないのは俺だけだったんだ!」

ぐるんっと体を回転させこっちを向いた駿ちゃん先輩にビクッと肩が揺れた。すごい気合が入った目をしていた。

「あれは奏が作った曲だって、学校中噂になっていたんだーーーっ!!!」

ここは1番奥の1番上の階の教室だから、たぶんそこまでうるさくなかったとは…

いや、十分うるさかったかもしれない。
演劇部ぐらい感情こもってたから。

「駿二」

「何、なんだ、何だよ奏くん…!」

「うっとおしい」

「ぬぉーーーーーーっ!」

けろっと答える奏くんに、まだまだ熱演中の駿ちゃん先輩はその場に崩れ落ちるように膝を床に付けた。

本当にずっとテンションの高い人だなぁ…疲れないのかな、そんな全身全霊で生きてるみたいな。

てゆーか噂になってたんだ、奏くんの曲のこと。

相変わらずそーゆうのには疎いから、っていうかあんま人と話してないから気付かなかったけどそれって…


私のせいじゃない?


私がしなのちゃんに話したから、それが広まっちゃったんじゃないの…!?

あえて学校ではやらないってことは、奏くんが曲を作ってるのも隠しておきたいことだったのかもしれない。


それを何も考えずに言っちゃった…!