「あ!ねぇねぇ、文化祭でやる楽曲のことなんだけどさ」

ホワイトボードを引いて来た駿ちゃん先輩の呼びかけに私も奏くんも顔を向けた。

「俺、奏が作った曲やりたい」

……。

…。


…えっ!?


奏くんも何も言わなければ、私もびっくししちゃって何も言えなかった。

だって、奏くんが自分の作った曲は学校ではやらないって…

「えーっ、2人して黙っちゃってさ!うわーーー、やっぱそうなんだ!?俺の知らないとこで俺の知らない活動してたんだ!?」 

駿ちゃん先輩は声が大きいのもそうなんだけど、一刻の間も許さないタイプで息継ぎもしないでわーっと喋る。

私も奏くんも何も声を発さなかったけど、それだって数秒間だったのに。

「クラスの奴に聞いたんだよ!始業式ん時超よかったって、俺いないのにさ!」

口を尖らせて腕を組んだ。

肩幅に開いた足が凛々しく感じる、奏くんほどではないけど駿ちゃん先輩も背は高い方だと思うから。

余計私がちんちくりんに見えるんだけど…今はそんな話どーでもよくて。
 
「だから藍ちゃんに聞いて…」

ごそごそとズボンのポケットからスマホを取り出し、トントンッと叩いて画面を開いた。

ほら!と言わんばかりに私たちのその画面を見せた…


あっ!!!これその始業式のやつじゃん!!!


てゆーか…っ

「撮ってたんですか!?」

まさか記録が残ってるとは思わなかった。 

「うん、藍ちゃんがね。一応活動を収めておくのも大事じゃん?」

折原さん…本当にちゃんとマネージャー業務してるんだ。  

うわーーー恥ずかしいーーーーー!

自分の歌ってる姿客観的に見たの初めてだよ、こんな声してるんだうわーーーっ