照れ臭そうに微笑んだ。


え、ていうか今なんて? 

俺が作った…?


俺がって誰?


俺って…


「えーーーっお兄さん曲作れるの!?すご!そんなことできるんだ!?」

「まぁこれくらいは」

「すごいよ!だってめちゃくちゃいい曲だったし、私初めて聞いた時からずっと感動してるし!」

くすってまた笑った。
私のリアクションはいちいち大きいから笑われたのかな、その自覚はあるし。

神木奏(かみきそう)

「え?」

「お兄さんじゃなくて神木奏、だから」

人差し指を立てながら、自分の顔をさした。  

笑ったのはそっちだったんだ、私がお兄さんって呼んだから…

てかしまった!
いつも心の中で勝手に呼んでたのがついポロッと出ちゃった!!

わっ、恥ずっ!!

やばい、顔が赤くなっちゃう…!

「名前は?」

「え…あ、私!?私は…望月灯璃」

「灯璃ね」

…そんな普通に呼び捨てしちゃうんだ。 

いいけど、なんか照れるじゃん。

今が夜でよかった、だって暗くてよく見られないから。

最後の一口のガリガリ君を食べ終えた、ハズレだった棒を近くのゴミ箱に捨てもう一度ベンチに座った。

「ねぇ奏…くんはっ」

「奏でいいのに」

そう言われても私はいきなり異性を呼び捨て出来るほど度胸がない、なんなら下の名前で呼んだだけでも褒めてほしいくらい。

無駄にドキドキして心臓の音がうるさいんだから。