「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!鮎森駿二見参!!」

ヤァッ!と両手を広げ飛び込むように部室に入って来た。

「駿二先輩、声大きいです」

その後ろで冷静に折原さんが指摘している。今日は折原さんも部活に参加なんだ。

「さぁさぁさぁみんな揃ってる~!?文化祭の話するよー!」

「ずっと駿二待ってたよ」

「ごめんごめん、ちょっと久野ちゃんに呼ばれて!」

久野ちゃんは60歳のおじいちゃん先生で、軽音部の顧問。こないだ入部届出しに行ったけどあんまりここには来ないって言ってたんだよね、将棋部顧問と掛け持ちだから忙しいって。

「決めようか!灯璃ちゃん、ホワイトボード用意して!」

「は、はい!」

急に言われてビクッとしながら壁に寄せてあったホワイトボードを引いて来た。ペンも持った方はいいのかと思って一応持ってスタンバってみた。

「久野ちゃんからさっき言われたんだけど、今年の持ち時間は15分で来週までに曲決めて…」

駿ちゃん先輩が1枚の紙を取り出した。

「これ提出だって!」

文化祭演目申請書と書かれた紙は各部活に配られ、文化祭で何か披露する場合はあらかじめ決めて提出しなきゃいけない。書類審査みたいなものであまりにあれなものはここで止められるから変なことも書けないんだとか。