「灯璃、ごめんね」

「ううん、全然!奏くんもバイトがんばってね!」

「あ、そうじゃなっ」

「2人って何で仲良いの?」

奏くんが何かを言いかけた時、被せるように鮎森先輩が聞いて来た。

ずいっと私たちに近付いて。

「めっちゃラフじゃない?奏くんって呼んでるの!?」

あ、やっちゃった。

何も考えず喋っちゃった。

いくら奏くんがいいって言っても部活中だし、そこわきまえた方がよかったかな…っ

「俺のことも駿ちゃんって呼んでいいよ!」

立てた親指を自分の方に向けて、さぁ!と言わんばかりに大きく口を開けて口角を上げた。

「…………駿ちゃん、…先輩」

「惜しい!」

そんなこと言われると思ってなくて、だいぶ戸惑った顔しちゃった。
そんでもってすごく悔しそうな顔をされた、オーバーなリアクションで。

「まぁいいや、好きなように呼んでよ!いや、できればそのまま駿ちゃん先輩希望で!」

声も元気だし表情も豊かだし動きだって大きいし、心もそんな人なんだな。何も考えず軽音部入っちゃったけど、意外とよかったかもしれない。

なんだか楽しそうに思えて来たかも。