私の世界が変わった。



日陰ばっかり選んで過ごしてきたのに、まるで初めて太陽に出会ったかのように眩しくて毎日起きた時から気分がいい。

恋は盲目ってよく言うけれど、こーゆうことを言うのかなって思ったり…


それともう1つ変わったことがある。


「ともりん、ご飯食べよ~!」

「しなのちゃんっ」


と、友達が出来た…!!!


始業式での軽音部(仮)としてステージに上がったことがキッカケで栗本さんがよく話しかけてくれるようになった。

これは高校入学して初めての快挙…!

「藍も一緒に食べるでしょ?」

「うん」

私のことをノールックで確認する折原さんとはまだ距離感あるけど。

「じゃあともりんこっちこっち」

しなのちゃんの机の右側にイスを寄せて、左側には折原さんがイスを持って来た。

いただきます、と手を合わせてもくもくと手作りのお弁当を食べる折原さんはあまり多くは話さない。

クールな人なのかな…
スラーっと背筋が伸びておにぎりを食べる姿勢もカッコよかった。

「午後の授業、課外研修の班決めだよね」

「あぁ、そうだね。もう来週だもんね」

課外研修、正直ちっともノリ気じゃないんだけど。

日帰りとは言え、遠出の行事…

しかも班決めとかだるー…
友達いない奴にとっての1番しんどいイベント…

「うちら同じ班になろうよ!」

パクッとチョコレートデニッシュをかじったしなのちゃんが言った。

うちらって言うのは、私と折原さん…に言ってる?

「あ、ともりんもう誰かと約束した!?」

「ううん、してないよ!」

「じゃあ一緒に組もうよ、藍もいい?」

「私はいいけど」

ここでもノールックで、視線はひたすらにおにぎりの方を見ていた。

「ともりん、いい?」

「う、うん!一緒に!」

私はと言うとこれも誘ってくれるとは思わなくて返事が遅れちゃった。でも内心はすごくそわそわしてた。

「よかった~!ねぇLINE教えてよ、連絡したい時あるし」

「私も!教えてほしい!」

すぐにスマホを取り出した、連絡先を聞かれることも高校入学して初めてのことだったから。
おにぎりに向き合ってる折原さんは聞いてはくれなかったけど。