幼馴染か…

幼馴染…って

どんな感じなんだろう、いないからわからないなどんなものなのか。


今日は水曜日、だから部活は休みの日。

でもそれ以外は自由って言ってたしね、気になってなんとなく足を運んでしまった。入部早々やる気みたいでちょっと恥ずかしいけど。

「…あ!」

部室に向かうため廊下を歩いていたらギターの音が聞こえて来た。


このギターはたぶん奏くんだ…!


軽音部の部室は学校の玄関から遠い、たぶん1番遠い。

よく使う教室はもっと便利なとこにあって、なんでこんな不便な離れたところなんだろうって思ってたけど…それはおそらく学校に防音の設備がないからだ。
なるべくみんなが使わない、みんながあまり来ない、そんな場所を充てられたんじゃないかなって。

「あ、灯璃!」

勢いあまって思いっきり引き戸を開けてしまったらガシャンと響いた。

「お疲れ!」

「お、疲れ様です…っ」

「何それっ」

制服姿で会うのはやっぱり変な感じがして、ついかしこまってしまう。

…というか、あそこでしか会わないと思ってたから何でも話せたし言えたみたいなとこあったからなぁ。

それに奏くんが笑ってた。

「座んなよ」

パイプ椅子に座ってギターを弾いていた奏くんが長机の前にあったパイプ椅子を引いてくれたから、ドアを閉めて部室に入った。

「今日はガリガリ君ないの?」

「え!?ないよっ!あれは、コンビニ帰りでっ」

「嘘嘘、そんな本気にしないでよ」

…笑われてしまった。
ムキになっちゃったから、恥ずかしい顔赤い。

ササッと髪を手櫛でといてパイプ椅子に座った。

「これあげる」

「え、何?」

長机の上の置いてあったスクールバッグの中から何かを取り出し、私の手の上に乗せた。

「ヤングドーナッツ」

「わっ、懐かしい!久しぶりに見た!」

「俺好きなの」

目を合わせて、そんなことを言われるだけでドキドキしちゃう。好きなのは私じゃなくてこのちっちゃなドーナツだけど。