昨日は眠れなかった。


同じことばかり繰り返されて、頭から離れなかった。

体育館に行くのを逃しちゃうぐらいに。


おかげで今日は寝不足で、昨日ずっと考えてたから。



私のラではもったいない。


この曲にも歌詞があったらいいのにって。


だから…



夜寝るのも忘れて言葉を紡いでみたくなったの。


奏くんの奏でるメロディーに私の言葉を乗せてみたくなったの。 



「灯っ…!」

私の書く歌詞なんてありきたりで、平凡で、どこにでもあるようなものかもしれない。


だけど、昨日のドキドキを忘れたくなくて無我夢中で書いたの。


不思議だよね、歌詞にしたら素直に言葉が出て来るから。


私にもこんなことが言えるんだって、恥ずかしかったけど歌に乗せたら言えるんだって。



夜になればキミに会える、そんなラブソング。



無意識に奏くんのことを想って書いてたこと、この瞬間気付いたの。



ワァーーーと歓声が上がる、昨日とは全然違って体育館に響いて反響してさらに大きくなった。

すごいー!とか、歌上手いー!とか、カッコいいー!とか…どんどん会場の雰囲気が変わっていくのがわかった。



あ、またドキドキしてる。

ワクワクしてる。


もしかして私歌うの好きだったのかな?


鳴り響く拍手と歓声がこんなにも快感に思うなんて。



隣を見れば奏くんが笑ってて。


ふふって笑ってて。




気付いたの、私恋に落ちた。