「奏―!灯璃ちゃーん!来たよ~~~~!!」

「駿ちゃん先輩!ら、らんらんも!」

「は、恥ずかしいからやめてくれない!?その呼び方!」

「でも私だけあだ名で呼ばれるのも…っ」

「可愛いからいいじゃない…、ともりんはっ」

折原さんが顔を赤くしたのが伝わって私まで赤くなっちゃった。

「なんじゃそれは!2人とも可愛いかよっ!!!」

誰より大きな声で駿ちゃん先輩が突っ込んだ。それもそれでなんだか恥ずかしい。

「駿二!来てくれてありがとう、もうすぐ始めるから」

「おぅ!てかこんなとこでやってんだな!?結構やばくない?俺お腹痛くなりそうだわ!」

「なんで駿二先輩が緊張してるんですか?」

「しない!?するよね、思ってるよりここ目立つよ!?」

前は全然気にならなかったんだけど、今日はスタンドマイクにアンプに自前のスポットライトまで用意されて演奏する前から注目を浴びてる。

今までどんだけ奏くんがひっそりやって来たのがわかるくらいに。

「藍も、ありがとう」

「…うん」

「聴いてってよね、俺の作った曲!」

「うん、楽しみっ」

ジロジロとこっちを見ている人がいて、何が始まるのか気になってる人もいる。そろそろ時間かな。

「じゃあ俺らあの辺で聞いてるわ!行こ、藍ちゃん!」

「はい。あ、しなのも後から来るって言ってたから!」