「あ~!いたーーーっ!奏!?おまっ、どこに!?藍ちゃん!灯璃ちゃんも!!」

3人で歩く帰り道、正面から駿ちゃん先輩が走って来た。

え、なんで駿ちゃん先輩が?

「あ、駿二先輩にも連絡してたんだった!」

ハッと思い出した折原さんが声を上げた。

あ、そっか電話!私にもかかってきた電話は駿ちゃん先輩にもしてたんだ!

「奏ーーーーーーーーー!!!」

たぶんもう12時を過ぎてクリスマスイブ、散々人ん家の前で言い合ってた私たちに言う権利はないけど駿ちゃん先輩の声はそれ以上に響くから。絶対めっちゃ近所迷惑だよ。

「お前、どこ行ってたんだよ!?」

走って来るや否やがばっと思い切り奏くんに抱き着いた。ぎゅーっと抱きしめるようにして、自分の腕の中に奏くんを閉じ込めた。

「めちゃくちゃ心配したじゃねぇーかよ!何してたんだよっ!!」

「駿二…」

抱き着かれたまま奏くんは状態を変えることなく立っていた。

「ふざけんなよ、マジで…っ」

駿ちゃん先輩が泣くからまた一緒になって泣きそうになって、うるってしちゃった。

「おかえり、奏…」

「うん、ただいま」

ぽんっと駿ちゃん先輩の背中を奏くんがなでた。

そんな2人を見て折原さんと目を合わせて微笑んだ。


ほらね、みんな好きなんだよ奏くんのこと。