プレゼント本当に用意してくれたんだ。

わざわざ届けてくれたんだ。

帰る前に寄ってくれたんだね、バイトへ行く前に。

今日も奏くんは一生懸命お金を稼いでる。店長にもらった休みも返上で、だからこれはそんな奏くんががんばって働いた代物で大事にしなくっちゃ。


もう会えないのかな、明日から学校は休みだよ。


また路上ライブするのかな?


でも、もう寒くてガリガリ君買いに行けないよ。



会いたいよ。



だって本当のクリスマスも奏くんは忙しいんでしょ……


ん?クリスマスも?


“クリスマスは稼ぎ時なんだよね”


何か欲しいものでもあるのかなって思ってた。クリスマスに欲しいものでもあるのかなって…だけどクリスマスに働いてたらプレゼントは間に合わないよね。


じゃあなんであんなに必死に?


文化祭が終わってからの奏くんは時間があればバイトに行ってた。

部活の時間を惜しんで、ひたすらに働いていた。

今日だってよっぽど働きたい理由があったのかな。

どうしても働きたい理由が、働かなきゃいけない理由が…


“またお菓子、買ってくるね”

そこまでして欲しかったものって?


“そのためにバイトしてるから”

何のために…?


“奏が家を出て行くって”


ハッとした。

そっか、そうだったんだ…


全然気付かなかった。

わかってなかった。

プレゼントなんてお気楽な妄想してた。

本当はそうじゃなかったんだ。



本当は家を出て行くためにバイトしてたんだ!


それはきっと私と出会う前から、ずっとずっと奏くんは…!



寂しがってたんだね。

ずっと抱えてたんだ。

1人で、思い悩んでた。



それなのに私は…

奏くんと一緒にいられることばかり考えてた。


私がいるよなんて…

やっぱり言わなくてよかった。



ぎゅっとマグカップを抱きしめて泣いた。



私にその寂しさから救ってあげることはできるの?