駿ちゃん先輩がギタースタンドに立てかけてあったいつもは奏くんが使ってるギターを持ってパイプ椅子に座った。

ジャンッと弦を弾いて、知っている曲なのか楽譜も見ないでギターを弾いて歌い始めた。

そーいえば駿ちゃん先輩の歌って初めて聞くかもしれない。

奏くんと2人でやってた時は駿ちゃん先輩がボーカルだったんだよね?

それは思ってたよりも優しくて濡れた声をしていた。


うまっ 

めちゃくちゃ上手いじゃん、駿ちゃん先輩…!


あわてんぼうのサンタクロースが全然あわてんぼうに聴こえない!!

むしろ色っぽく聴こえる!!

「駿二先輩の声って本当艶めかしいですよね」

折原さん、言い方!!
もっと艶っぽいとかあるのでは!?

「奏のギターと合わないんですよね」

それは確かに。
奏くんのリズミカルな音とこの声はあんまり…かも。

「灯璃ちゃん歌って!」

「え!?」

「知ってるでしょこれ!知らなかったらスマホで検索して!」

「し、知ってます!あ、最初しか知らないかもです!」

急に誘われると思ってなくて私があわててスマホで歌詞を検索した。

「藍ちゃんも!」

「えっ、いいですよ私はっ!歌下手ですしっ」

「別にいいよ!つーか下手でもいいし、誰も怒んないよ?楽しけりゃいいんだよ!」

「あ、折原さん歌詞見る!?」

「いやっ、私は…っ」

グッとスマホを差し出して一緒に画面を見た。