奏くんにスーパーで会ってから数日後、久しぶりに部活にやって来た。

あったかそうなダッフルコートにぐるんぐるんに巻いたマフラー、肩にはスクールバッグ、そして…

なぜか両手には大きな紙袋を持っていた。

相当重いものが入ってるのかずしんっと持っている紐が下がってる。

「おっ、奏~!今日は来たか!」

「なかなか来れなくてごめん」

「いや、全然いいけど。どーせ暇だしすることないし」

目標を失った部活ってこんな感じなのかなと思わされるゆったりした日常で、パイプ椅子に座った駿ちゃん先輩の鼻歌交じりなギターを聞くのが今日の部活って感じ。

折原さんがパイプ椅子をもう1つ持って来てくれて、部室に3つ用意されるようになって3人で大富豪した日もあったからね。知らないって言ってた折原さん超強かった。

「ねぇ駿二漫画いらない?いっぱい持って来たんだけど」

「漫画?え、なんで?」

どすんっと音が鳴るぐらい重い紙袋を長机の上に置いた。ギターを置いて立ち上がった駿ちゃん先輩が袋の中を覗き込んだ。

「すげぇあんじゃん!」

「好きなの持って行っていいよ、てゆーか全部あげる」

「いいの!?」

袋の中から1冊1冊出していく駿ちゃん先輩が気になって、ついじーっと見てるとそれに気付いた奏くんと目が合った。

「灯璃もほしかったらいいよ」

「えっ、ありがとう」

近付いて駿ちゃん先輩が取り出した漫画を数冊手に取ってみた。スポ根漫画が多かった。

「これ何?全部奏のやつ?」

「うん、家から持って来た」

「なんで?わざわざ?」

「今断捨離してるんだ」

目をキラキラさせ…なんでここでキラキラさせたのかはよくわからないけど、それに対して何か紙に書いてる折原さんが答えた。

「最近部屋の掃除にハマってるんですって」

部屋の掃除…、もうすぐクリスマスってことは年末だから大掃除ってことかな。

奏くんそーゆうのマメそうだもんなぁ。