「しなのちゃんって彼氏いたんだ!?」

ついついかっぴらいた目をしちゃった。別に普通なんだけど、そんな素振り見たことなかったから。

「いるよ、気付かなかった?」

「全然…!誰?同じ学校の人!?」

授業と授業の間の放課、しなのちゃんの席に遊びに来ておしゃべりをしていた流れで教えてもらった。

「一宮だよ」

そしたらサラッとした感じで名前まで教えてくれて…

「え!?一宮くんっ!?」

座ってるしなのちゃんの前に立って、つい前のめりになっちゃった。

「そーだよ~、一緒に級長してて仲良くなって、じゃあ付き合おっか!みたいな」

「全然気付かなかった!!」

級長と副級長だもん、仲良くなるキッカケはたくさんあるか。

でもそれで付き合ってたなんて…

うわーーー!なんかこっちが興奮して来た!!

「クリスマスは!?一緒に過ごしたり…するの!?」

「うん、初めてのクリスマスだからね!」

「へぇ、いいなぁ~!」

好きな人と過ごすクリスマス…

わーーー!
聞いただけでテンション上がる!!

そうだよね、やっぱクリスマスってこうゆうことなんだよね!?

今まで無縁過ぎたから考えたことなかったけど…

「何?なんでともりんそんなこと聞くの?」

「えっ!?」

しなのちゃんがにひっと笑った。

その顔に私の体温がボンッと上がる、全部を見透かされたみたいで恥ずかしくなった。

「いつまで喋ってんの?次移動教室だよ!」

「あ、藍!忘れてたわ、すぐ準備する!」

しなのちゃんが机の中から化学の教科書を出した。

次は化学か、私も教科書取りに行かないと…化学室って遠いんだよね、まぁ部室よりは楽だけど。

「望月さん」

「え、あ、はい」

「何ぼーっとしてんの?早く教科書持って来たら?」

「………え?」

はなからそんなこと考えてなくて、しなのちゃんはよく誘ってくれたけど毎回誘ってもらうのもあれかなって思ってて、1人で行けなくもないかと思ってたけど…


その言い方は?


「…私も一緒に行っていいの?」

「いつも一緒に行ってるじゃない」

「藍は素直じゃないな~」

少し照れる折原さんの隣でしなのちゃんが笑ってた。

「い、行く!待ってて、教科書持って来るから!」

だって折原さんの方から、そんな…っ

「藍もともりんって呼んだら?」

「…考えとく」

「いいの!?呼んでよ!!」