結婚してくれる?



って聞きたかった、もう一度。



結婚しようか 



っていつでも言えたのに。


大人になる前に終わっちゃった。




馬鹿みたいだよね、あんな嘘まで付いて。


あんな子供じみた嘘、すぐわかっちゃうのに。


“私、奏の婚約者なの”

言わないと負けると思った。

どうにかしないと奏の隣が取られちゃうって怖かった。

そんなことでどうにかなるものでもないのにね。

だって、恋愛って勝ち負けじゃない。

ましてや早い者勝ちでもない。

そんなことで手に入れられるほど簡単じゃないから。




1人になった部室で、崩れるように泣いた。


今まで押し殺して来た声をもう殺さなくていいから。