「鍵くれた時だよね!?」

瞳が熱くなる。

「藍が言ったんだ、奏といるの楽しい、奏といるのが好きだって、だからこれからもずっと一緒にいようねって」

涙が止まらない。

「もう1人だと思ってたから、俺…藍がいてくれて嬉しかったんだ。だから俺が言ったんだよね」

「…っ」

声が出せない。


「大きくなったら結婚してくれる?って」


丘の上のひまわり畑、たくさんひまわりが咲く中で私たちしかいなかった。


いっぱい奏が笑ってくれるのが嬉しかった。

私といて笑ってくれるのが嬉しかった。


「それで藍が答えたんだ。大きくなったら結婚しようねって」


可愛い子供の約束を私はずっと信じてた。

だってあの時から変わらない、奏の隣にいるのが私だったから。


1人だから一緒にいてあげたんじゃないよ、私が一緒にいたかったの。



私にとって大切な約束だったの。



「俺も藍のこと好きだったよ。今だって好きだよ。藍とはこの先もずっと一緒にいたいって思ってる」

本当は思い出になんてしたくない。

「それくらい大事なのは今だって変わらない」

溢れ出る涙は止まらなくて、奏の声を聞くのが精一杯で。

震える肩を抱きしめてくれたなら、って…


「でも、ごめん。俺…」


そんなこと叶うはずもなくて。


“恥ずかしいよ、だって藍は家族みたいなもんだもん”

私の前では自作の曲を弾くのは緊張するって聞かせてくれなかった。


寂しかったんだ。

そう言われても寂しかった。



だってそれが答えなんでしょ。



「ありがとう、奏…答えてくれて」


いつからそうなってたのかな。

いつか家族になることを夢見てたのに、奏の中ではもう家族になってたんだね。

ずっと一緒に居過ぎたのかな私たち。


隣にいることがあたり前過ぎたんだね。



嬉しくて悔しいな。