「藍、急に呼び出してごめん!」

「本当だよ、まだ文化祭の途中だよ?しかも部室って遠いし」

「ごめん、ここが1番いいかと思ってここなら誰も来ないし話しやすいかなって」

軽音部のステージが終わって片付けまでした後、奏に呼ばれた。

体育館ではまだステージ企画が行われている最中、軽音部じゃなくてもバンドをやる人はいるし漫才をする人もいたりしてまだまだ盛り上がってるところだと思う。

でもさすがにここまでは聞こえない。

遠いからな、部室(ここ)

文化祭の最中なのに静かでゆったりしてる。窓の向こうの校舎の廊下は見るだけでもワイワイと賑わっているのがわかるのに。

「今日ウェイターやってたんだってね」

「え、なんで知ってるの!?」

「駿二に聞いた、カッコよかったって」

窓でも開けようかなって思って近付いたけど、サイズの小さかったウェイターの話は恥ずかしくてピクッと止まってしまったからただ窓の方を向くだけになった。

「俺も行けばよかった」

「来なくていいよ、照れるから」

「でも見たかったじゃん、藍のウェイター姿。きっと似合ってるんだろうなって想像でもわかるよ」

「……。」

奏が隣に並んだ。

外を見つめる私の隣に来て、とんっと窓に背中を預けた。

「ギターの練習してたら時間過ぎちゃって」

「え!?ずっと練習してたの!?」

「うん、だって失敗したくないじゃん」

「それは、そうだけどっ」

それはそれですごく奏らしい。

好きなことには本当一生懸命だから。

それほど好きなんだろうなぁ。

「もうすぐ文化祭も終わりだね」

「そうだね、終わりだね」

「終わっちゃうとちょっと寂しいね」

「うん…」

じぃっと窓の外を見つめる。

本当に静かだね、ここは。


「奏、そろそろ話してよ」


どうして奏が私を呼んだのかなんてもうわかってる。

必死に話題を振ろうとしてるのもわかってる。

しかもこんな、誰にも見られないような空間で。

「私いつでも聞く覚悟出来てるから」