「うん、じゃあ実際飲んでみよう!」

「え?」

「今日持って来たの、藍も飲んでみて感想ちょうだい!」

どどんっとスクールバッグとは別に持って来ていたトートバッグから4種類のかき氷シロップと紙コップを取り出した。

「実際飲んでみてよかったら提案してみようと思うの!」

一応味見はするんだ、しないのはさすがに無責任だから仕方ないか。

「いいんじゃない?いきなりみんなに言うよりあらかじめ試しておいた方がいいと思う」

「藍も付き合ってもらってもいい?てゆーか始めからそのつもりだったんだけど」  

「いいよ、全然」

しなのが残りのサイダーを取り出した、これはたぶん学校の自販機で買って来たものでまだほんのり冷たかった。

「ありがとう!ごめんね、いっぱい仕事してもらって」

「ううん、しなの大変そうだし」

「それはそう…思ってたよりも仕事多くて。これからボンボンも作らなきゃだし」

「ボンボン?」

「あの紙で作った花!」

「あぁ、あれね」

学校の飾り付けではよく見る紙を重ねて蛇腹(じゃばら)に折って真ん中を留めたら1枚ずつ剥がして作っていくあの花…

「文化祭の時、学校中に飾るからあれもいっぱい作らなきゃいけないんだよね」

「すごい大変だね…、私でよければ手伝うから何でも言って」

「藍~!ありがとう、めっちゃありがたい!一宮もパンフ係になっちゃってずっと忙しそうだから言いにくくて」

その話を聞くとやっぱり私が文化祭実行委員になればよかったかもしれないと思った。