「イチゴ、メロン、レモン、ブルーハワイ…の4種類は発注出来たの!これ混ぜたらダメかな?」

「イチゴとブルーハワイ混ぜるみたいなこと?」

「そう!そしたら紫になるじゃん!」

しなのが色を混ぜ合わせて作る方法の書かれた表をスマホで見せて来た。見せられなくても常識程度にはわかるけど。

「推し活を意識した方が売り上げ伸びるかなって思って」

「そうだね、その方がみんな好きそう」  

「でしょ!そしたらカラバリは多い方がいいじゃん!」

放課後しなのに話しかけられ、文化祭のクラス企画であるカラフル喫茶の話し合いに呼ばれた。

誰もいなくなった教室で黒板の前に置いてある教卓越しに向かい合うようにして、私が生徒でしなのが先生みたいな。
黒板に書いた方が雰囲気出るかなってしなのがチョークを持ったから、教卓に頬杖を付くように身を任せることになっちゃって。

「今4色あるから、組み合わせていけば…赤と青の紫に赤と黄色のオレンジ、黄色と緑で黄緑も出来るよね!あとは赤と緑で茶色!」

「いや、茶色はいらなくない?頼む人いるかな」

「確かに、それはいらないか」

カツカツと音を出しながら黒板に書いていく、たぶんこの書く作業が楽しいんだろうなぁなんて思いながら。

「これで7色!作るのも混ぜるだけだからそこまで大変じゃないし、買う方にも選択肢増えていいかなって思うんだけど藍どう思う?」

「いいんじゃないかな、選択肢増えるのはいいと思うし。ただ…」

「ただ?」

「味はどうなのかなって」

色のバリエーションは増えて可愛くなるとは思うけど、イチゴとレモンを合わせておいしいのかって別の問題が発生する。

「そこだよね、選択肢増えてもそれは本当どっちを取るか…」

「それはもうお客さん側に任せる?推しの色がいい人は味は我慢するって人もいるかもしれないよ」
 
元はかき氷のシロップをサイダーで割るんだから、きっと不味くて飲めないってことはない…そこはもうお客さん側の判断で。
好きな色がいいのか、好きな味がいいのか、それも選択肢にしてもらうようにすれば。