それから毎日のように病院へ通っていると、いつものように横たわっている祖母の耳に、いつもとは違う光景が広がっていた。
「すみません。看護師さん。祖母の耳に何故かイヤホンがさしてあるのですが……」
看護師さんがこちらに小走りで向かって来る。
「失礼しました。音楽を楽しんでいるんですよ」
そう言って、繋がれている音楽プレーヤーを手に取り、左右に振った。
「音楽? 祖母の耳は聞こえているんですか?」
「耳が聞こえているか聞こえていないかは問題ではありません。大切なのは、聞こえていると信じることなんです。きっと楽しんでいますよ、音楽」
祖母の話を聞いた日から凍えそうなほど冷え切っていた全身を、あたたかい空気が駆け巡った。
これこそが、母の言う"最期の教育"なのだろう。
祖母は、世の中はこんなにもあたたかい優しさで溢れている、ということを教えてくれた。
最期まで、凛々しいその生き方を、世界は愛に溢れているということを、身を持って教えてくれた。
「すみません。看護師さん。祖母の耳に何故かイヤホンがさしてあるのですが……」
看護師さんがこちらに小走りで向かって来る。
「失礼しました。音楽を楽しんでいるんですよ」
そう言って、繋がれている音楽プレーヤーを手に取り、左右に振った。
「音楽? 祖母の耳は聞こえているんですか?」
「耳が聞こえているか聞こえていないかは問題ではありません。大切なのは、聞こえていると信じることなんです。きっと楽しんでいますよ、音楽」
祖母の話を聞いた日から凍えそうなほど冷え切っていた全身を、あたたかい空気が駆け巡った。
これこそが、母の言う"最期の教育"なのだろう。
祖母は、世の中はこんなにもあたたかい優しさで溢れている、ということを教えてくれた。
最期まで、凛々しいその生き方を、世界は愛に溢れているということを、身を持って教えてくれた。