朝、目を覚まして顔を洗う。

『おはよう、栞』

 私は今日も、この声を聴く。

『おはよう、志貴』

 そう返し、支度のために自部屋へ戻る。
あまり気慣れていない服に違和感を覚えながらも、私は部屋の扉を閉めた。
彼の好きなハーフツインに、落ち着いた黒基調のワンピース。何の因果かわからないけれど、この服を纏う日は、いつもより空が青い気がする。

「行ってきます」

 今日は、私と彼にとって忘れられない日。