カードから放たれた無数の強大な岩と氷柱は混ざり合って神獣達を突き立てる。
観月と結愛の連携攻撃は神獣達を怯ませたとはいえ、倒しても倒しても神獣達は再生を遂げ、何度でも襲いかかってきた。

「また、慧にーさん達の攻撃を無効化したのか……?」
「ほええ、最悪です。皆さんの総攻撃が効いていないですよ!」

奏多と結愛がじわじわと押し込まれていく中、神獣の群れの連携攻撃は徐々に苛烈さを増していく。
あたかも神の所業なる壮大な侵略の様子は、人々を震え上がらせるには充分だ。

「このままじゃ……」
「はううっ、包囲されちゃいます」

奏多と結愛は窮地に立たされた気分で息を詰める。

「『破滅の創世』の配下達の狙いは俺だ。何とかしないと……」

戦局を見据えていた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。

「慧にーさん、遠方から攻撃の余波が来る!」

奏多がそう呼びかけた途端、夜霧の向こうから無数の雷撃が飛んでくる。
ヒュムノスが招いたのは無慈悲に蹂躙する雷光。
絶大な力に飲み込まれた一帯はまるで砂のように崩壊した。





「みんな、大丈夫か?」
「はい、奏多くん」

結愛達の身に唐突に訪れた窮地。
しかし、それは奏多が手をかざしたことで危機を脱していた。
奏多の周囲にいる者達は全員無事だ。

「奏多、助かったぜ」
「余波でこの威力。本当に凄まじい力ね」

慧の言葉に呼応するように、観月は眸に不安の色を堪える。

「この状況を覆すためには、突破口を切り開く必要があるな」

視線を張り巡らせた『境界線機関』の者達は置かれた状況を重くみた。

「怯むな、突撃!」

だが、それでも得物を手にした兵達が次々に突撃を敢行する。
出来る限り、戦線を支え続けることが目的だ。

『破滅の創世』の配下達との戦いはこの世界に未曾有の惨事を引き起こしている。
いずれも絶大な力を有する『破滅の創世』の配下達は、世界に滅びをもたらす存在で在り続けていた。
此度の戦場も、建物が一瞬で崩壊するという蹂躙とでも呼ぶべき景色があった。

「……この世界を侵すほどの脅威だな」

再生を繰り返す神獣達。
神獣達の嘶きを前にしても、慧は恐れることはない。

「それでも止めるさ。たとえ、それが大軍勢だとしても……」
「これ以上、進ませないわ!」

神獣達から即座に距離を取ると、慧は怯むことなく、観月と連携して次の攻撃に移った。