『破滅の創世』の配下達。
これまでも世界各地で暗躍していたが、ここにきて本格的に『破滅の創世』である奏多を取り戻そうという動きが見られる。
今、この場にいる『破滅の創世』の配下達はまだ不透明だ。
もっとも暴れ出したら見境いなしの『破滅の創世』の配下の者もいる。
最悪の場合、『境界線機関』の基地本部が壊滅する危険性があった。

「それが何を指していようともな」

慧の銃が轟音を発した。
放たれた弾頭は狙い違わず、基地本部の入口に現れた神獣に命中し、その姿を爆散させる。
凄まじい威力の一撃だが、しかし……すぐに新たな神獣の群れが現れた。

「……まぁ、俺達がすることは一つさ」

それでも慧は握る銃の柄に力を込める。視線を決して神獣の群れから外さずに弾丸を撃ち込む。

「基地本部に迫っている『破滅の創世』の配下達が危険な存在でないことを願うしかないな」

慧は奏多と結愛の身を第一に考え、自らが敵を引きつける形で戦場を制する。
基地本部に残っている『境界線機関』の者達が力を振るうために必要な時間を稼いで場を整えた。

迫り来るのは神獣の軍勢。
軍勢の行く先、『境界線機関』の者達は必死の抵抗を繰り広げていた。

「奏多様のもとには行かせるな!」

死と隣り合わせの戦場から得られる経験は、訓練とは違った恐怖を伴うものであるが故なのだろう。
生き残らねばという執着が『境界線機関』の者達を支配していた。
それは消極的なものではなく。むしろ闘争心に火をつけるものであった。

「神獣達の目的は俺だ。結愛、俺が誘導してこちらに引きつける!」
「はい、奏多くん!」

幾度も生じる猛撃。奏多は結愛達とともに力を振り絞っていた。

「絶対に負けませんよ! 奏多くんは……『破滅の創世』様は絶対に護ってみせます!」
「結愛、敵に近づきすぎないようにね」

観月は警告しつつも、ありったけの力をカードへと籠めた。

「結愛、カードの力を同時に放つわよ!」
「はい、お姉ちゃん、ナイスです! グッジョブです!」

観月の提案に、結愛は表情を喜色に染める。
導くのは起死回生の一手。
観月と結愛は並び立つと、カードを操り、約定を導き出す。

「降り注ぐは星の裁き……!」

その刹那、迫り来る神獣達へ無数の強大な岩が流星のごとく降り注ぐ。
観月が振るうカードに宿る力の真骨頂だ。

「行きますよ! 降り注ぐは氷の裁き……!」

さらに氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の猛攻を叩き込む。瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。