「足止めか。そのような作戦など無意味だ」
そう断じたリディアの瞳に殺気が宿る。
神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下達にとって、『破滅の創世』は絶対者だ。
それと同時に何を引き換えにしても守り抜きたい存在だった。
だからこそ、『破滅の創世』の配下達にとって、一族の者達は不倶戴天の天敵である。神敵であると。
「レン。わたしは我が主の無念を晴らしたい。今、基地本部に潜入することは、わたし達の目的を遂行する足掛かりになるはずだ」
「それは私も同じ気持ちです。一刻も早く、一族の者の手から『破滅の創世』様をお救いしなくては……!」
リディアの宣誓に呼応するように、レンは一族打倒を掲げる。
『破滅の創世』の配下達の気持ちは皆同じだ。
「それにしても分かりませんね。彼らは何故、ここまで無駄な努力をするのか……。その行為がこの世界のみならず、数多の世界を危機に晒すことに繋がるというのに……」
中空から戦局を俯瞰していたレンは独り言ちた。
『破滅の創世』の神命が起点となって、この世界の運命は決まっている。
『破滅の創世』の配下達にとって、『世界の命運』は流れる水そのもの。
絶対者である『破滅の創世』のなすがままでなくてはならない。
だからこそ――
「先を選べ、人の子らよ、この世界は滅びに面している。神は真実、正しい存在だ。神の行うことを疑うことは罪だ」
「くっ……!」
『忘却の王』ヒュムノスが投げかけた口上に、司達『境界線機関』の者達とこの場の戦線に加わった大軍勢は苦悶の表情を走らせる。
互いの距離の間に流れるのは一触即発の気配。
それでも司達の戦意は衰えない。
理解にもっとも程遠く。
ヒュムノスの眸は真っ直ぐに司達を捉えてから拒絶を紡いだ。
「それでも歯向かうというのなら……死せよ塵芥、この場で消し飛ばす」
ヒュムノスが招くのは無慈悲に蹂躙する雷光。
その暴虐の光は排斥の意図もろとも戦車部隊を飲み込んだ。
崇高なる神――尊き主の御座が、罪と偽りに満ちた世界であることが許されるだろうか。
そう訴えるように――。
「まあ、いいでしょう。リディア、ヒュムノス。基地本部に潜入するのは私とアルリットが行います。この場はあなた方にお任せいたします」
「了解」
「神よ、我らの戦いをご照覧あれ」
二人の応答に、随分と物腰丁寧な仕草でレンは礼をする。大仰に両の腕を広げながら。
「アルリットが強奪した一族の上層部の人間の能力は、必ずや『破滅の創世』様をお救いするための一助となるはずです」
一見すれば非常に温和なようにも感じるが、レンの胸中には一族の者への形容しがたい怒りがある。
殺意の一言で説明できないほど、その感情は深く深く渦巻いていたから。
そう断じたリディアの瞳に殺気が宿る。
神命の定めを受けて生を受けた『破滅の創世』の配下達にとって、『破滅の創世』は絶対者だ。
それと同時に何を引き換えにしても守り抜きたい存在だった。
だからこそ、『破滅の創世』の配下達にとって、一族の者達は不倶戴天の天敵である。神敵であると。
「レン。わたしは我が主の無念を晴らしたい。今、基地本部に潜入することは、わたし達の目的を遂行する足掛かりになるはずだ」
「それは私も同じ気持ちです。一刻も早く、一族の者の手から『破滅の創世』様をお救いしなくては……!」
リディアの宣誓に呼応するように、レンは一族打倒を掲げる。
『破滅の創世』の配下達の気持ちは皆同じだ。
「それにしても分かりませんね。彼らは何故、ここまで無駄な努力をするのか……。その行為がこの世界のみならず、数多の世界を危機に晒すことに繋がるというのに……」
中空から戦局を俯瞰していたレンは独り言ちた。
『破滅の創世』の神命が起点となって、この世界の運命は決まっている。
『破滅の創世』の配下達にとって、『世界の命運』は流れる水そのもの。
絶対者である『破滅の創世』のなすがままでなくてはならない。
だからこそ――
「先を選べ、人の子らよ、この世界は滅びに面している。神は真実、正しい存在だ。神の行うことを疑うことは罪だ」
「くっ……!」
『忘却の王』ヒュムノスが投げかけた口上に、司達『境界線機関』の者達とこの場の戦線に加わった大軍勢は苦悶の表情を走らせる。
互いの距離の間に流れるのは一触即発の気配。
それでも司達の戦意は衰えない。
理解にもっとも程遠く。
ヒュムノスの眸は真っ直ぐに司達を捉えてから拒絶を紡いだ。
「それでも歯向かうというのなら……死せよ塵芥、この場で消し飛ばす」
ヒュムノスが招くのは無慈悲に蹂躙する雷光。
その暴虐の光は排斥の意図もろとも戦車部隊を飲み込んだ。
崇高なる神――尊き主の御座が、罪と偽りに満ちた世界であることが許されるだろうか。
そう訴えるように――。
「まあ、いいでしょう。リディア、ヒュムノス。基地本部に潜入するのは私とアルリットが行います。この場はあなた方にお任せいたします」
「了解」
「神よ、我らの戦いをご照覧あれ」
二人の応答に、随分と物腰丁寧な仕草でレンは礼をする。大仰に両の腕を広げながら。
「アルリットが強奪した一族の上層部の人間の能力は、必ずや『破滅の創世』様をお救いするための一助となるはずです」
一見すれば非常に温和なようにも感じるが、レンの胸中には一族の者への形容しがたい怒りがある。
殺意の一言で説明できないほど、その感情は深く深く渦巻いていたから。