神獣の軍勢が歩を進める。
『境界線機関』の者達や自衛隊の大部隊が対応しているが現在、直面している『破滅の創世』の配下達の襲撃には苦しい戦況が続いていた。
それでも彼らは『境界線機関』の基地本部を堅守するために必死の抵抗を繰り広げていた。
『境界線機関』の基地本部。
海外への交易路が存在し、南方には都市部が存在するこの場所は、この世界にとってある種の生命線だったから――。
「基地本部を守り抜く! ここで何としても食い止めるぞ!」
司が神獣の軍勢を斬り裂く軌道で振るったその重力波は極大に膨れ上がり――それは絶大な威力として示された。
ともに立つ味方には奇跡を、立ちふさがる敵には破滅をもたらす、重力操作能力の本領発揮だった。
そこに神獣の軍勢が迫る。だが、司を穿つことはできなかった。
「分かっていないな。おまえ達はどう足掻いてもこの先を進むことはできない」
司は感情を交えず、ただ事実だけを口にする。
神獣の軍勢の怒濤の如く迫る衝撃に対抗するように、自衛隊の戦車部隊が大地を抉り、けれど果敢に砲弾を叩きつけたからだ。
「絶対に基地本部には近づけさせるな!」
敵陣を穿つ猛攻。戦車部隊は次々と神獣を撃破していく。
死と隣り合わせの戦場から得られる経験は、訓練とは違った恐怖を伴うものであるが故なのだろう。
生き残らねばという執着が彼らを支配していた。
それは消極的なものではなく。むしろ闘争心に火をつけるものであった。
さらに、上空から次々と高い加速性能を持った高速戦闘機が飛来する。
「理解できないな。この程度でわたし達に歯向かうとは……くっ!」
だが、戦闘機の動きはリディアの想像とは一線を画していた。
戦闘機は旋回能力を生かし、高速で飛行していたリディアの動きを阻害する。
「やっぱり……」
その攻防の最中、浮遊し、中空から戦線の把握に務めていたアルリットは気づく。
流れを変えようとするが、高いステルス性能を誇る戦闘機がアルリットを翻弄する。
「リディア。『境界線機関』はあたし達に勝つのが目的じゃない。この場に足止めすることだよ」
そう口にしたアルリットはこの数手の攻防だけで、『境界線機関』の者達の手強さを肌で感じ取っていた。
司達は今、完全に待ちに徹している。
それは奏多がいる『境界線機関』の基地本部の防戦を狙ってのもの。
『破滅の創世』の配下の力は強大だ。その上、不老不死である。何かあれば、勝敗の天秤はアルリット達に傾く。
だからこそ、司達は焦らない。
彼らは敢えて、アルリット達をこの場に留めることを狙っていた。
自らを『囮』とすることで、『破滅の創世』の配下達と神獣の軍勢を自分達の構築しきった陣地でもって迎え撃つことができるという戦術的な利用を用いてきたのである。
『境界線機関』の者達や自衛隊の大部隊が対応しているが現在、直面している『破滅の創世』の配下達の襲撃には苦しい戦況が続いていた。
それでも彼らは『境界線機関』の基地本部を堅守するために必死の抵抗を繰り広げていた。
『境界線機関』の基地本部。
海外への交易路が存在し、南方には都市部が存在するこの場所は、この世界にとってある種の生命線だったから――。
「基地本部を守り抜く! ここで何としても食い止めるぞ!」
司が神獣の軍勢を斬り裂く軌道で振るったその重力波は極大に膨れ上がり――それは絶大な威力として示された。
ともに立つ味方には奇跡を、立ちふさがる敵には破滅をもたらす、重力操作能力の本領発揮だった。
そこに神獣の軍勢が迫る。だが、司を穿つことはできなかった。
「分かっていないな。おまえ達はどう足掻いてもこの先を進むことはできない」
司は感情を交えず、ただ事実だけを口にする。
神獣の軍勢の怒濤の如く迫る衝撃に対抗するように、自衛隊の戦車部隊が大地を抉り、けれど果敢に砲弾を叩きつけたからだ。
「絶対に基地本部には近づけさせるな!」
敵陣を穿つ猛攻。戦車部隊は次々と神獣を撃破していく。
死と隣り合わせの戦場から得られる経験は、訓練とは違った恐怖を伴うものであるが故なのだろう。
生き残らねばという執着が彼らを支配していた。
それは消極的なものではなく。むしろ闘争心に火をつけるものであった。
さらに、上空から次々と高い加速性能を持った高速戦闘機が飛来する。
「理解できないな。この程度でわたし達に歯向かうとは……くっ!」
だが、戦闘機の動きはリディアの想像とは一線を画していた。
戦闘機は旋回能力を生かし、高速で飛行していたリディアの動きを阻害する。
「やっぱり……」
その攻防の最中、浮遊し、中空から戦線の把握に務めていたアルリットは気づく。
流れを変えようとするが、高いステルス性能を誇る戦闘機がアルリットを翻弄する。
「リディア。『境界線機関』はあたし達に勝つのが目的じゃない。この場に足止めすることだよ」
そう口にしたアルリットはこの数手の攻防だけで、『境界線機関』の者達の手強さを肌で感じ取っていた。
司達は今、完全に待ちに徹している。
それは奏多がいる『境界線機関』の基地本部の防戦を狙ってのもの。
『破滅の創世』の配下の力は強大だ。その上、不老不死である。何かあれば、勝敗の天秤はアルリット達に傾く。
だからこそ、司達は焦らない。
彼らは敢えて、アルリット達をこの場に留めることを狙っていた。
自らを『囮』とすることで、『破滅の創世』の配下達と神獣の軍勢を自分達の構築しきった陣地でもって迎え撃つことができるという戦術的な利用を用いてきたのである。