まどかはいまだ、一族の上層部が有する神の加護による洗脳を受けている。
意識が戻ったまどかの動向を警戒して、『境界線機関』の者達が即座に駆け寄った。
「ここは……?」
まどかは自分を取り囲む『境界線機関』の者達を見る。
「萩野まどか。一族の上層部の一人、冬城聖花は『破滅の創世』の配下達によって倒された。よって、おまえの身柄はこのまま、俺達『境界線機関』が預かる」
司は感情を交えず、ただ――ありのままの事実だけを口にした。
その意味するところを余すところなく、その身に刻んだまどかは理に合わない現実にこれ以上なく混乱する。
「なんで、なんで、なんでよ……聖花様が負けるわけないのに……」
「俺達も冬城聖花も、『破滅の創世』の配下達を甘く見ていた。その結果だ」
その渦巻く疑問すら、司は予測していたように応えた。
そして改めて、それを成し遂げた『破滅の創世』の配下達の手強さを肌で感じ取る。
「おまえの主である冬城聖花はもう亡くなっている」
「うるさい! うるさい!」
まどかはあまりのことに混乱をきたした。
司の言葉が理解できないというように狼狽える。
「まどか!」
「来ないでよ!」
そっと差し伸べた観月の手さえも、まどかは拒絶するように払い除けた。
「もう、元の関係には戻れないんだよ、観月ちゃん。私達はもう……敵同士なんだから!」
「――っ」
まどかの憎しみの瞳がことごとく観月の心を抉る。
今のまどかは意思を奪われ、ただ此ノ里家の者である観月の人質としての役割を果たす基幹的存在に成り果てている。
身を苛むそれが親友である観月とこれ以上、会話することを拒絶しているようだった。
「おまえが俺達の話を信じないなら、それでもいい。だが、冬城聖花から授かった能力はもう使えないだろう……?」
「あ……」
司が明かした事実は、まどかの瞳を揺らがせるのに十分すぎた。
なんで、なんで、なんでよ。
この場から逃れたいのに、聖花様から授かった力が使えない……。
ここにきて、ようやくまどかは聖花から授かった能力が使えないことに疑問を持ち始める。
「このっ!」
まどかは怒りに身を任せて拳を振り上げる。
それでも聖花から授かったはずの能力の数々が発揮されることはなかった。
「……あ、うっ」
本当に聖花が亡くなったという現実だけがまどかの身に突きつけられる。
その瞬間の感情をうまく言葉に表現することはどうにも難しかった。
ただ――
「そんな、そんな……」
まどかが抱いていた混乱はさらに拍車がかかる。
今の無力な自分では聖花の仇を取ることも、この場を逃れることもできない。
まさに抵抗する術がない以上、どうにも手の打ちようがなかった。
意識が戻ったまどかの動向を警戒して、『境界線機関』の者達が即座に駆け寄った。
「ここは……?」
まどかは自分を取り囲む『境界線機関』の者達を見る。
「萩野まどか。一族の上層部の一人、冬城聖花は『破滅の創世』の配下達によって倒された。よって、おまえの身柄はこのまま、俺達『境界線機関』が預かる」
司は感情を交えず、ただ――ありのままの事実だけを口にした。
その意味するところを余すところなく、その身に刻んだまどかは理に合わない現実にこれ以上なく混乱する。
「なんで、なんで、なんでよ……聖花様が負けるわけないのに……」
「俺達も冬城聖花も、『破滅の創世』の配下達を甘く見ていた。その結果だ」
その渦巻く疑問すら、司は予測していたように応えた。
そして改めて、それを成し遂げた『破滅の創世』の配下達の手強さを肌で感じ取る。
「おまえの主である冬城聖花はもう亡くなっている」
「うるさい! うるさい!」
まどかはあまりのことに混乱をきたした。
司の言葉が理解できないというように狼狽える。
「まどか!」
「来ないでよ!」
そっと差し伸べた観月の手さえも、まどかは拒絶するように払い除けた。
「もう、元の関係には戻れないんだよ、観月ちゃん。私達はもう……敵同士なんだから!」
「――っ」
まどかの憎しみの瞳がことごとく観月の心を抉る。
今のまどかは意思を奪われ、ただ此ノ里家の者である観月の人質としての役割を果たす基幹的存在に成り果てている。
身を苛むそれが親友である観月とこれ以上、会話することを拒絶しているようだった。
「おまえが俺達の話を信じないなら、それでもいい。だが、冬城聖花から授かった能力はもう使えないだろう……?」
「あ……」
司が明かした事実は、まどかの瞳を揺らがせるのに十分すぎた。
なんで、なんで、なんでよ。
この場から逃れたいのに、聖花様から授かった力が使えない……。
ここにきて、ようやくまどかは聖花から授かった能力が使えないことに疑問を持ち始める。
「このっ!」
まどかは怒りに身を任せて拳を振り上げる。
それでも聖花から授かったはずの能力の数々が発揮されることはなかった。
「……あ、うっ」
本当に聖花が亡くなったという現実だけがまどかの身に突きつけられる。
その瞬間の感情をうまく言葉に表現することはどうにも難しかった。
ただ――
「そんな、そんな……」
まどかが抱いていた混乱はさらに拍車がかかる。
今の無力な自分では聖花の仇を取ることも、この場を逃れることもできない。
まさに抵抗する術がない以上、どうにも手の打ちようがなかった。